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2000年1月

バイリンガルベビー

2000年1月号

『バイリンガルベビー』  中舘 慈子

「5ヶ月の子どもに、1週間に1時間、英語を教えてくださる方はいませんか?
それも、ネイティブイングリッシュで話せる方を。教材もあるのですが、私がうまく使いこなせないので…。」
ある日、こんなお申し込みがありました。

まず、大人が怖い顔をして、「CAT!CAT!」と、ネイティブイングリッシュで赤ちゃんに教えている姿を想像しました。
…これでは、赤ちゃんは、「大きな顔が不愉快な声と怖い顔で迫ってくる。なんだか知らないけれど、悲しくなってきた…」と、泣き出すにちがいありません。

5ヶ月の赤ちゃんを思い浮かべてみてください。ほっぺたがふっくらとしてきて、ちょっとあやすとコロコロ笑うようになり、手足をパタパタ動かしながらわけのわからない声を出します。

「ウックンウックン」とか「ウーウーアーアーマーマー」「キャー…」といったように。これが、言葉にならない赤ちゃんの声、喃語です。英語ともフランス語とも中国語ともわからない不思議な発音ですね。
「よし、ここでバイリンガルベビーにしよう!」というお母様の張り切り様もわかるのですが…。
語学の力を伸ばすために一番大切なことは何だと思いますか?
それは、「人と話したい」「人と知り合いたい」「人とコミュニケーションをとることが楽しい」という気持ちそのものなのです。
この時期にそんなお子様の可能性をつぶさないようにしたいと思います。
子どもは笑顔で話しかけられたり、優しい歌声を聞いたりすることで、人の声を「快い」と感じるでしょう。働きかける大人自身が「赤ちゃんといることが楽しい。幸せだ。」と、思っているかどうか、赤ちゃんにはよくわかるかもしれません。こういう素地さえできていれば、20歳を過ぎて「どうしてもフランスに行きたい!!」と思えばフランス語を、短い期間に流暢に話すことができるようにさえなるのです。そのまま子どもがフランスに行ってしまい、寂しい思いをしている人を知っていますが…。
先ほどのお母様には「お子様が語学を習得するのにプラスになるような環境をご用意することならできますが、どういたしましょうか。」とご相談しました。
もちろん、お母様は快くこの条件を理解してくださいました。