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2001年10月

悪夢のような日

2001年10月号

『悪夢のような日』  中舘 慈子

2001年9月11日。一瞬、映画のシーンかと目を疑いました。飛行機がビルに吸い込まれるように消えたとき、何が起きたのか分かりませんでした。この日の光景は多くの人の目に焼き付いて離れないでしょう。
ニューヨークのマンハッタンの世界貿易センタービル。ここはアメリカの繁栄と世界の経済を握る力のシンボルでした。繁栄も力も数時間のうちに無残に崩れ落ちて瓦礫と化した映像に激しいショックを感じました。しかもまだ数千人が行方不明のままです。ワシントン郊外の国防総省が破壊されたこと。これはまさにアメリカの防衛の心臓を刃物で突かれたようなものでしょう。
「報復」ということばが今、アメリカ国民の心を一つにしているようです。広辞苑によれば『仕返しをすること』『国家間で,一国の不当な行為に対して,他国が同等な不当な行為で報いること』とあります。本土での戦争を体験しないアメリカ人にとって「戦争」とはどこか遠い他国で行われるもの、と言う意識があるのではないかという気がします。戦争が長期化したときにいかに国土が破壊され、衣食住に困窮し、人の心がすさむかをどれほど実感しているのでしょうか。しかも戦争の後遺症はあらゆる形で子孫に至るまで影を落とすということを。
恐るべきテロ組織は壊滅されなければならないでしょう。しかし、人類の英知をすべて傾けて、「戦争」を避ける方法はないものでしょうか。「戦い」に対するエネルギーがマグマのように溜まって、一触即発になり兼ねない危機感を感じますが、地球全体を破滅へと導きかねない「報復」を避けることができたらと強く願います。
今、日本の具体的支援の有り方が問われています。日本の行方はどうなるのでしょうか・・・。
歴史の流れの中にいると、自分の置かれている場所が見えなくなります。
9月11日が、全世界が巻き込まれる悪夢のような永い日々のスタートでないことをひたすら祈っています。第3次世界大戦、世界大恐慌の予兆でないことを。
子育ては未来を育む営みです。子どもを育む大人が未来に夢を持てなければ、その不安はきっと子どもにも暗い影を投げかけることでしょう。「悪夢」から醒めて、平穏な夢のある日々が訪れることをひたすら祈っています。21世紀を支える子ども達の未来のために。