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2002年5月

ああ ベビーシッター事業・・・

2002年5月号

『ああ ベビーシッター事業・・・』  中舘 慈子

大きな岩に向かって、一人で立ち向かっているようにふと感じます。これからの日本の子育てに、従来の施設型保育だけではサポートしきれない部分があるのではないか、家庭に入って行う個別保育が必要なのではないか、という熱い思いを抱いてこの業界に入ったのが10 数年前。さらに、サポートしなければいけないのは子どもばかりでなくて、子育てをしているお母さんたちなのではないか、という思いにかられてファミリー・サポートを設立したのが1994 年でした。
その後、少子化が進み、働く家族の子育て支援は更に必要になりました。子育ては保育所などの施設型保育だけではサポートしきれないものです。まず、病後児。病後児の保育所を作るとしたら、施設に対するコストがかかりますが、家庭に伺
うベビーシッターでしたら、施設を作る必要もありませんし、保護者が施設にお子様を連れていったりする必要もありません。自宅で安静にしているほうが、お子様にとっても良いのではないでしょうか。その他、送迎保育 新生児の保育 急な仕事の場合の保育 など、働く家族にとってベビーシッターは無くてはならないものなのではないでしょうか。けれども「待機児童対策」の政策の中には、「ベビーシッター」の必要性は全く盛り込まれていません。さらに、子育ての支援は、「待機児童対策」ばかりでなくてすべての子育てをしている家庭に行われるべきものではないのかと思うのです。家庭で子育てに専念さ
れている方も、数多くいらっしゃいます。家庭で育てられた子ども達も、やがて社会に出て日本を支える大切な人材になります。家庭で子育てに専念するということは、それほどたやすいことではありません。一時的なものかもしれませんが、社会から隔絶され閉塞感や孤独感に陥ったり、情報の中で戸惑ったりして、これが育児不安に結びつくこともあります。このようなご家庭に、経験豊かなベビーシッターが伺い、時にはリフレッシュをしていただいたり、時には育児談義をしたりすることは、どんなにか子育てを生き生きとしたものにすることでしょう。どのご家庭にも「育児アドバイザー」としてのベビーシッターが必要なのではないでしょうか。現在の政策は「家庭で子育てに専念する家族」への子育て支援が全く盛り込まれていません。もちろん「ベビーシッター」の必要性も。
社団法人 全国ベビーシッター協会 という厚生労働省の認可団体があります。協会の理事として6 年め。「ベビーシッター認定資格」の確立に関わり、今は「解説 ベビーシッター」という在宅保育の専門教科書の作成に励んでいます。けれども、政策の風は「ベビーシッター」の上をさらさらと通りすぎていくのです。保育所などと同じ「子育て支援」の仕事でありながら在宅保育であるベビーシッター会社に補助金は0、税制の優遇もありません。介護の世界で「在宅介護」が叫ばれているのに。その結果、「ベビーシッター料金は高い」「ベビーシッターが定着しない」などの壁を打ち破ることはとうていできません。「営利事業」とは程遠い現状です。ふと気づくと、大きな岩に向かって一人立ち向かっている孤独を感じます。