ホーム>子育てエッセイ>2003年1月

2003年1月

雪の日のお迎え

2003年1月号

『雪の日のお迎え』

チーフサポーター 菊地美智子


しんしんと前夜から降り続いた大雪の日、辺り一面真っ白な銀世界。しかし心底寒く、それだけに保育が終わって園から飛び出してきた子ども達には、ママの顔が一段と温かい暖炉のように見えたと思います。そんな中で「Y ちゃん、おかえりなさい」5歳になったばかりのY ちゃんといつものように手をつないで駅に向かい、2つほど電車に乗っていえのすぐ近くまで戻ってきたとき、突然、大きな大きな雪のかたまりの上に、Y ちゃんが座り込みました。「私はママがいいの。ママにお迎えに来てもらいたいの。ママじゃなければだめなの。」

お友達と一緒のときはこらえにこらえていた大粒の涙をぼろぼろこぼしながら、Yちゃんが言いました。こんな時、私はなんと答えたらよいのでしょう。いくつもの言葉が出かかりました。

『仕方ないでしょう。ママはお仕事なのだから。おりこうにママが帰っていらっしゃるまでおうちで一緒に待っていましょうね。』『第一そんなところに座っていたら、お洋服もみなビチャビチャになるし……。かぜひいてしまうわよ。』

しかし実際には、本当に悲しそうな涙顔でドッシリと雪の上に座り込んだY ちゃんを見つめていると、しばらくは何も言えませんでした。手を引っ張って立ち上がらせることもできませんでした。そして……「分かったわ。ママが一番! 本当にそうだ! おばちゃまにはY ちゃんの気持ち よく分かるわ。そうだ! 一緒にママがここを通るまで、待つことにしましょう!」

私も一緒に雪の上に座り込みました。ほんの10分間程度だったと思います。おしりも手も体も、冷え切ってきました。「Y ちゃん、寒いねー。やっぱりおうちでママを待つことにする?」「うん」(おうちに帰って、)冷え切ったY ちゃんの体を温まってくるまでさすり続けました。そして…… 大好物のカレーでお昼ご飯にしたのです。この頃にはもういつもの明るいY ちゃんに戻っていました。

Y ちゃんにとって、ママは世界にただひとり。私のように代わりになる人はいても、ママはママ、どこを探してもたったひとりなのです。私がもしY ちゃんだったら、寒い雪の日に一番会いたいのはやっぱりママだったろう……と、つくづく思いました。しかし、私はママの代わりだけれど、Y ちゃんを愛し、守り、一緒にいたいと雪の上に座っていたときに心から思っていたのです。そしてその気持ちはY ちゃんに伝わったと確信しています。そしてその心のつながりがその後Y ちゃんとの日々を自然に温かくしてくれたのです。

※シッターさんの体験談です。「雪の日」にお子様の一番会いたい人は……? やはり「ママ」なのです。そんな気持ちをそのまま受けとめて、「ママじゃないけれど、お子様を愛し、守り、一緒にいたい…」と心から思えるシッターを目指していきたいと思います。