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2003年4月

ルールを破るのは難しい

2003 年4 月号

『ルールを破るのは難しい』  中舘 慈子

小学3年生のA くんはシッターのB さんが学校の近くの駅まで迎えに来て、あるときは塾へ、あるときは家まで電車を乗り継いで帰ります。A くんの家にはいくつかのルールがあります。その中に「寄り道をしてはいけない」「家では絶対に漫画を買わないし読ませない」というものがありました。

学校の休み時間は漫画の話題で盛りあがります。そんなときにA くんは取り残されたような寂しい気持ちなります。「友達みたいに漫画を読みたいなあ。でも、家では絶対に買ってくれないし。」と悩むA くんは、B さんとの帰り道に本屋の店先に友達が話題にしている漫画の本があるのを見つけました。「ねえ、3分だけって決めるから、立ち読みしていい? 絶対にそれ以上は読まないから。それからこのことはパパとママには内緒にしておいてね。」さあ、B さんはどう対応したら良いのでしょうか?

もしB さんが、『友達だって漫画を読んでいるのだから、絶対禁止なんてかわいそう。遠い学校に通っていて、それに塾にまで行って、さぞストレスも溜まることでしょう。漫画くらい読んでもいいじゃない。』と考えて「いいわよ。パパやママに内緒にしておくから。ただし3分だけね。」と安直に許したらどうなるでしょうか? A くんはルールを破ることになります。3分の立ち読みが許されることからもっと大きなルール違反をして良いという気持ちにつながりかねません。B さんはこのようにA くんに話してみました。

「A くん、ルールがあるのは何か理由があるからよね。じゃあ、どうして寄り道してはいけないのかな? どうして漫画を立ち読みしてはいけないのかな?」いろいろな答えがかえってきました。「寄り道すると次の場所に遅れるから。」「漫画はおもしろいから、文字ばかりの本を読まなくなるから。」「漫画はよくないことばや内容があるってパパやママが言っているから。」「本屋さんで売っている本を読むと汚くなって後で買う人がいやだから。」「お金を払わないで読むことはいけないことだから。」「それでも、ルールを破りたいのかな?」「なぜ、ルールを破っても漫画の立ち読みをしたいのかな?」「B さんにはね。パパやママに信頼されて、ご両親の教育方針に添ってA くんのお世話をしなければいけないというルールがあるのよ。もし、漫画の立ち読みをAくんがすることを許すとB さんもそのルールを破ることになってしまうの。」ルールを破ることはなかなか難しいことですね。幼児期から小学校にかけて、ルールには意味があること、ルールを破ることが難しいということを知ることがまず大切なのではないでしょうか。その原則を知りながら、時にはルールを破り、子どもは大人になっていくのでしょう。

A くんとB さんの話は実際にあった話ではありません。でも、もしこれに似たことがあったとしたら、ご両親ならどうしてほしいでしょうか。B さんはどうしたらよいでしょうか。