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2004年9月

家族と保育者のコラボレーションを目指して

2004年9月号

『家族と保育者のコラボレーションを目指して』 中舘慈子

ひと言子育てをめぐるさまざまな問題が起きている今だからこそ、保育士・幼稚園教諭・ベビーシッターなどと保護者がコミュニケーションをとり信頼関係に結ばれ、共に子どもを育む姿勢が必要だと思います。在宅保育サービスや民間保育サービスについても会員の皆さまにご理解をいただきたいと思っています。

1 在宅保育サービス

「単に子どもを一時的に預かるベビーシッター会社ではなく、子育てを行う親や家族を支援したい」という熱い思いで株式会社ファミリー・サポートを設立したのは1994年のことだった。子どもに対しては良質な保育、教育を提供し、働く両親はもちろん、家庭で子育てに専念する母親も心理的物理的にサポートしたいと考えた。この場合最も大切なことは「保育者」と「保護者」がよりよい連携を取り、信頼しあって「子どもの育ち」を共に援助していくことである。

弊社の在宅保育サービスには産後サポート(産褥期の母親の心と生活のサポート、新生児の沐浴を含むケア)育児サポート(0歳から未就学児を対象とした在宅送迎病後児保育など)学童サポート(小学生を対象とし、心と生活の支援のほか学習指導なども含む保育)ポーテージサポート(障害を持つ子どものケア)などの分野がある。選考を経て採用された子育て経験者、保育士や幼稚園教諭、音楽大学や美術大学出身者などはカウンセリングマインドを重視した研修を受講した後、各家庭を訪れて子どもに個別保育を行い親をサポートする。日本の保育は保育所を中心とした施設型保育が主流となっている。しかし0歳児保育は母性的養育環境である家庭で行われるのが望ましい。病児、深夜保育は子どもがくつろぐことのできる在宅保育が適していると思う。産後のサポートは出産後の女性が母性を形成する重要な時期の在宅のサポートである。在宅保育サービスには、1時間1500円前後という料金の壁があるし、自宅に保育者が入ることに抵抗を感じる場合もあるだろう。しかし、すべての子育て家庭に対する支援が必要な今、さまざまな保育サービスのひとつの選択肢として「在宅保育サービス」はさらにニーズが高まると思われる。弊社のサービスの90%はこの在宅保育サービスの分野である。

2 複合型幼児教育施設運営事業

2歳前後になると子どもたちは集団で過ごす時間を楽しむようになる。2000年「カーサデルバンビーノ」(イタリア語で「子どもの家」)という複合型幼児教育施設を創った。幼稚園に入る前の幼児対象に社会性・コミュニケーションの力を養うと共に造形・音楽・体操・英会話・ことばなどの「幼児教育タイム」を設けたプレスクール、月極保育臨時託児教室なども併設している。2004年には商業施設内に施設利用者の臨時託児も含めた2つ目の園を開設した。働く両親ばかりでなく、家庭で子育てをしている女性にとって、たとえ週1回2時間この施設に子どもを託すことであっても、保育者と話すことが心の支えとなり、保護者同士のかかわりもでき、自分自身を見つめる大切な時間となる。

3 その他の企業・大学内の臨時託児室の企画運営、幼稚園・保育所などの教諭・保育士・補助職員の業務請負などを行っている。また、大学、文化センターなどで「子育て講座」「キッズアート講座」「読み聞かせ講座」などの企画運営を行っている。

4 研究事業

2002年より東京大学大学院博士課程のスタッフを中心に「保育と家庭とのよりよい連携」をテーマとして、保育所・幼稚園・ベビーシッターとその利用者を対象とした研究を行っている。日本発達心理学会では2002年に「こどもの育ちをめぐる保育と家庭のコラボレーション」、2003年には「保育と家庭の『信頼関係』」に関する研究発表を行い、今後もさらにこのテーマを掘り下げた研究を続けたいと考えている。

研究事業の成果を生かし、子育て家庭を支えるという信念の元に、弊社は今後も公的な保育制度ではカバーしきれない保育サービス事業をさらに展開していきたい。

2004年発達心理学会ニューズレター掲載記事