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2005年9月

シッターVS子どもの生活習慣

2005年9月第2号

『シッターVS子どもの生活習慣』

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

シッターをしていると、それぞれの家庭の親御さんがいかにがんばっているかにふれ、胸打たれることも多い。働くお母さんが朝、用意していったお夕飯を、夜、私があたためて子どもに食べさせ、朝、お母さんがベランダに干していった洗濯物をとりこみながら、「いったい、ここのお母さんの平均睡眠時間はどれくらいなんだろう…」と思ったりする。

いっぽうで、シッター先の子どもの生活習慣に不安を感じることも少なくない。もっとも不安に感じるのが、テレビとビデオ、テレビゲームが、なによりの趣味になってしまっている子どもの多さである。まぁ、子どもがテレビの前でおとなしく座っている間は事故の心配もないし、親も自分の時間ができて楽なぶん、ついつい見せてしまうのだろう。親御さんからのメモに「ポケモンのビデオはリビングに、ディズニーのDVDは和室にあります。リモコンの操作法は子どもが知ってます」などと書かれていることもあるが、安くないお金を払ってシッターに来てもらっているのだから、その時間帯はテレビもビデオもゲームも禁止にしてしまえばいいのにと思うこともある。シッターは、子どもにウケル遊びをけっこう知っているものだ。

次が子どもの食生活で、ポテトチップスなどの塩分、油分の多いスナック菓子や、カップ麺に代表されるインスタント食品が大好きな子どものなんと多いことか…。ひと昔前、そういった食品は多くの親が有害視していたが、現在は多くの家庭で常備されているから、時代も変わったものである。

そして、子どもたちの平均的な就寝時刻も、各段に遅くなっている。小学生以下の子どもで、午後11時頃まで起きているケースは全く珍しくなく、そのぶん朝が弱い子どもが増えている。不登校の理由が「朝、起きれない」という子どもたちが増えてきているのも事実で、「夜、早く寝なくちゃ」というと「眠れない」と言う。ようするに体内時計がくるってしまっているのだ。

一般的に、シッターに派遣先の子どもの生活習慣の改善までは求められていないと思うが、内心、私は、シッターこそ、その任務に積極的にかかわるべきだと思っている。学校や保育園がどんなに「テレビ・ビデオは時間を制限しましょう」「好き嫌いをなくしましょう」「早く寝かせましょう」と保護者にいったところで、限界がある。共働きの子育て家庭の場合、多くの親は、日々の生活をまわしてゆくための物理的な業務だけでいっぱいいっぱいなのだ。その親にかわって、ひとりひとりのシッターが根気よく、時間をかけて子どもと向き合い、少しでも改善していく努力や工夫をはかることで、現代の子どもの生活習慣は大きく改善してゆくだろう。

学校教育におけるボランティア体験のススメ

2005年9月第1号

『学校教育におけるボランティア体験のススメ』

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

先日、育児雑誌の仕事で静岡県の某中学校の体験学習を取材した。この学校では、毎週、月曜の午後4時から6時までの2時間、中学2年生の生徒が、ふたり一組になって地域の子育て家庭を訪問し、ボランティアで子どもの世話をしているのだ。我が子が中学生のお兄ちゃん、お姉ちゃんと楽しく遊んでもらっている間、親は夕飯の支度や、たまっている家事をする。
学校と、地域の民生委員や児童委員、地域の子育て家庭が連携し、授業の一環としてスタートしたこの活動、スタート当初は「中学生じゃ、ちょっと心配…」「事故があったら、どうするの」と利用を躊躇していた子育て家庭も少なくなかったが、じょじょに利用希望が増えてきたそうだ。
この活動の関係者に話を聞きながら、「これは、一石二鳥ならぬ、一石三鳥にも五鳥にもなる取組かもしれない」と、心ふるえる想いであった。「たとえ2時間でも、ボランティアで子どもを見てくれて、どんなに助かるか」と、乳幼児を抱えたお母さんたち。中学生ボランティアが帰るときには、「また、来てね~」と笑顔の子や、「帰らないで~」と泣き出す子も。
そして特筆すべきは、中学生たちがアンケートに記した生の声である。「弟や妹ができたみたいでうれしい」「学校の人間関係での疲れが、このボランティア活動で癒される」「ふだんはギスギスした気持ちで過ごしていることが多いけど、小さい子といると、少しやさしい気持ちになる」「子どもって、かわいいけど大変だと思った」「自分を慕って抱きついてくる存在って、すごくうれしい」「子どもの言うことに、はっとさせられることがある」などなど、読んでいて中学生にとって、この活動がいかに得るものが多いかを実感した。
中高生が地域の子どもを傷つけたり、殺めてしまう事件が少なくない今、この活動をスタートするにあたっては、反対の声も少なからずあったろうと思う。でも、つきつめて考えていくと、青少年が乳幼児について理解し、接し方を学び、いとおしめるようになるには、やはり乳幼児と接する時間を定期的に設ける以外に方法はない。たとえ、週に2時間だけでも、青少年の頃に乳幼児と過ごした経験を持っている子とそうでない子とでは、将来、親になったときにも必ず違いが出てくるだろうし、それが結果的に育児不安や児童虐待の予防にもつながっているのではないだろうか。
いち教育・福祉関係のライターとして、この取組が全国的に普及していくよう、微力ながら役に立ちたいと思っている。