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2007年7月

個室が子どもをダメにする?

2007 年 7月号

『個室が子どもをダメにする?』

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

今月も埼玉郊外の中古の一戸建て物件をいくつか見にいった。東北本線、埼京線、京浜東北線などのJR沿線は高いので、大宮を通る私鉄の野田線沿線ねらいで行ったのだが、やはり私達の、恥ずかしくてここには書けない予算内では、なかなかいい物件は見つからない。

今、住んでいるのは3LDKである。夫のアトリエ兼、額装済みの絵画の倉庫でひと部屋、私の仕事部屋兼、書庫でひと部屋、家族の寝室でひと部屋使っている。リビングは、デザイナーや印刷所などとの仕事の打ち合わせ場所を兼ねているので、正直、これより狭いところはつらい。その上、娘だってそのうち個室をほしがるだろう。

実家の母に電話でこぼしたら、「なに贅沢なこと言ってるのっ。昔はね、6畳2間で家族が暮らしてたのよっ」と激怒された。「それは、自宅が仕事場を兼ねてないからでしょ」という私の言葉には耳をかさず、母はつづけてまくしたてる。「だいたいね、個室文化がすすんだから、日本はダメになったのよ。子どもが加害者の犯罪が増えたのも個室育ちのせいね。あなたもね、教育関係のライターなら、「個室が子どもをダメにする!」って記事書きなさいっ」。

...母にも一理あるとは思う。子どもに個室をあたえることのデメリットを、これまでのシッター体験からも少なからず感じている。①まず、親子の会話や、居間で家族と共に過ごす時間が激減する。②親は知らない、子どもの秘密が増える。(中には、子どもの机の引出しや鞄などをこっそりチェックする親もいるが、私はそれはしたくない)。③子どもが今、なにをしているのか、なにを考えているのか、わかりにくくなり、親の目が行き届かない。④子どもが「自分の世界」を持ちすぎて、社交性や協調性がなくなる、などなど、マイナス面をあげたら、きりがない。

でも、それでも私は、子どもに個室をあたえてあげたい。なぜなら、私の本好きも、工作や手芸など、ものづくりの作業に熱中する集中力も、ひとりでいても退屈せず、けっこう楽しく過ごせる性格も、やはり個室がある環境で育ったからこそだと思うからだ。自分ひとりの時間と空間を愛せるということは、広い意味で「孤独にたいする強さ」にも、つながっていると思う。それは、長い人生を生きていくなかで、なにより貴重な、ありがたい能力ではないだろうか。

4000 時間効果

2007 年 7月号

『4000 時間効果』    中舘  慈子

あるシッターさんがこんなことを言っていました。

「この仕事をしていてうれしいことは、お子様の育ちをずっと見ることができることです。初めてうかがったときにはおむつを当てていた赤ちゃんが、保育所に行き、もう小学 4 年生。ときどき私の悩みを聞いて、慰めてくれることだってあるんですよ。」

クラブ  デル  バンビーノのご利用者は永く続けて利用されることが多く、いつの間にかお子様が中学生、さらに高校生になったという例さえあります。 1 名のシッターさんが月曜日から金曜日まで、週 5 日  1 日 2 時間  9 年間  うかがった例があります。さて全部で何時間になるでしょう?  と計算機をたたいてみると、なんと 4320 時間になりました。4000 時間効果にはどんなものがあるでしょうか。1 対 1 でやさしいシッターさんにしっかりと気持を受け止めてもらうだけでも、子どもの育ちにとってかけがえのない時間です。実の親でも、1 日2時間子どもと本当に向かい合うことは難しいものですから。

お子様とシッターが向き合う時間、これがプラスのものになるように、シッターにはいつもプラス思考をするようにすすめています。たとえば、4000 時間「心配だ」「あまり良くない」「失敗するかもしれない」「だめだ」「できないのね」「つらいことばかりでかわいそう」「無駄だった」などということばを繰り返していては、お子様の人格形成に悪影響を与えてしまいます。「良かったね」「大丈夫」「失敗しても今度は必ずできる」「すばらしいね」「がんばっているね」「楽しいね」というプラスのことばかけを繰り返すことがまさにプラスの 4000 時間効果をもたらすと思うのです。

そして、自分に対してプラスのことばかけをするようにシッターさんにすすめています。実は、私自身にも・・・・。