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2009年3月

『上の子のいとしさ』

2009年3月号

『上の子のいとしさ』

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

 

3歳の長女が家のなかで騒いだり、叫んだりするたびに、「おりちゃん(次女の愛称)が起きちゃうでしょっ」と、一日に何度も叱りつける日々である。長女は怒られるとさらにムキになって、「キーッ」と高音の奇声を発する。そのせいで眠っていた次女は泣きだすし、激怒する私に長女も泣きだすという、このどうしようもない悪循環…。

まだ赤ちゃんだった長女が寝ていたときは、夫も私も物音ひとつたてなかったというのに、次女はこの騒音に耐え、私が長女とお風呂に入っているときは泣き叫んでもほっとかれ、つくづくかわいそうである。写真やビデオを撮ろうとしても、長女が「(自分が)やる、やる」といってとことん邪魔するので、ちっとも撮れない。そんな思いがつのって、教育に悪いと思いつつ、長女を叱ってばかりいる。

先日の夜中のこと。次女の夜泣きがひどく、授乳しても、だっこしてもなかなか泣きやまない。隣で眠る長女が起きてしまったら、大変なことになると思うと気が気でなく、だっこしながら、「ほらほら、よしよし、泣いてると、眠ってるお姉ちゃんが起きちゃうよ~」と、普段とは逆の言葉を何遍も繰り返しながら、必死で寝かしつけていたときのことだ。暗闇の中から、眠たげな長女の声が聴こえた。

「ママァ、おりちゃん、泣いててもいいよ。さっちゃん、平気だよ」

いつもとは反対のことを言っている私の言葉が、聴こえていたのだろうか。ちょっとびっくりして、長女をまじまじと見つめてしまった。起きださないよう、布団をかけなおうそうとすると、「おりちゃん、おっぱい…」と、半分眠りながら私に言う。「うん、あげるから」と答えながら、長女の、そのお姉ちゃんぶりに少し泣きそうになった。約1時間後、ようやく眠った次女をそっと布団に戻してから、隣の長女が眠る布団に入り、久しぶりに長女を抱きかかえて眠った。次女よりもずっと大きいぶん、あったかかった。