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2009年7月

『小学校時代の宝物』

2009年7月号

『小学校時代の宝物』

中舘慈子

 

7月の週末、小学校のクラス会がありました。2年おきに延々と続けられてきたのは、超几帳面な幹事が、計画を立て、案内の往復はがきを出し、その返信の内容と住所録をパソコンで打ち、クラス会の写真を数枚同封し、クラス全員に配布するという涙ぐましい努力を続けているおかげです。60人以上いたクラスメイトの中で住所不明者は数名しかいません。

もうひとつ忘れてならないのは、先生の魅力です。給食の時間に「ビルマの竪琴」を読んでくださったときに、「オレ泣いちゃうから後ろで読むよ」とおっしゃったことを私が話すと「覚えているよ。後ろ向いたら、読むのやめちゃうよ」と言ったよね、と先生。秋になると先生の家の庭にみんなで柿を取りに行ったこともありました。小学4年から6年の担任でしたが、生徒に本気で向かい合ってくださったことをしっかりと覚えています。今回は深夜まで話が弾み、先生自身が胸に秘めていたいろいろな経験談、授業についていけない生徒を放課後に残して個人指導をしたら上司に叱られた話など・・・、をうかがうことができました。傘寿の先生と還暦を過ぎた生徒。大人同士として共感しあうことができました。

今はクラス替えも多いとのこと。それはそれで多くの出会いが経験できるでしょうが、持ち上がりのクラスの先生と生徒の親密なふれあいは、かけがえのない宝物のように思えます。

 

『姉妹というもの』

2009年7月号

『姉妹というもの』

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

 

3歳半の長女と8か月の次女が、いっしょにたわむれて遊ぶようになってきた。といっても、次女はおでぶちゃんすぎて、まだお座りもできないので、長女が次女のむっちり手足をもって揺らしたりしている。次女がきゃっきゃっと笑うと、「ママ~、おりちゃん、笑ってるよ」と、長女もはしゃぐ。そんな姉妹の情景に家事をする手を休めて、しばし見とれてしまう。そして、私と姉にもこんな時があったのだろうかと思う。

姉とは5歳離れていて、しかも間には私と年子の兄がいる。子どもの頃は、いつも兄と遊んでいて、姉とは少し遠かった。6年生頃から姉と同じ部屋になり、親しくなったかというとそうでもない。末っ子の私に両親が甘かったのが気にいらなかったのだろうか、当時の姉は、今、思いだしても、ずいぶん露骨に私を疎んじていたと思う。「うるさいから、あっちいってよ」と、何百回言われたことか…。私も私で、そんな姉にたいして憎まれ口ばかり聞いていた。

そんな、決して仲がいいとは言えない姉妹だったのに、大人になった今、姉とときどき会うとけっこう楽しい。友人とはちがい、どこまでもリラックスしている自分がいる。姉も、かつては子ども扱いしてバカにしていた私に愚痴をこぼしたり、相談してくる。ご飯を食べながら、しゃべりまくっているうちに、あっという間に数時間が過ぎてしまう。

かつては同じ家の同じ部屋に帰っていた姉と私だが、今は電車で4時間の離れた場所に住み、それぞれの家族が待つ家へと帰る。新宿駅で「じゃぁね、バイバイ」とあっさり言って、異なるホームへと歩きはじめ、階段付近で姉の行ったほうをなにげなく見ると、姉も雑踏のなかで、私のほうを見ていたりする。そんなときは、姉へのいとおしさがこみあげて、一瞬、視界がぼやけたりする。「今、私は妻でも母でもなく、妹の顔をしている」と思いながら手をふる。そして手をふる姉も、姉の顔をしている。