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2010年4月

『パパとママの成長』

『パパとママの成長』

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

 

夫はすこぶる穏やかな人柄なので、これまで、怒鳴りあうような深刻な夫婦げんかは一度もしたことがない。でも、1分以内で終わるプチ口論はちょくちょくやっている。たいてい、私が頼んでおいたことを、夫がやってくれていなかったときに。

たとえば、「7時までには帰るから、子ども達お風呂にいれておいてね」と仕事部屋で絵を描く夫に言い、「はいよ~」という返事をしっかり聞いて出かける。

夜、帰宅すると、子ども達は未入浴で遊んでいる。当然私は、「なんでお風呂入ってないの」と怒る。すると夫は「入れようと思ったら、下の子が寝ちゃってた」とか、「アヒルが見つからなかった」とかなんとか下手な言い訳をする。本当は仕事を中断するのが嫌だっただけなのだ。「できないこと、簡単に引き受けないでよ」「だって、俺が『やだ~』って言ったら怒るでしょ」と、まぁ、こんな感じである。

先日も、早朝、仕事に出かける前に、頂きものの和菓子を同じマンションに住むおばあさんに、子ども達の帽子を編んでくれたお礼に届けておいてと頼んでおいたのに、帰宅したら、届けているどころか、包装が開いているではないかっ!「なにこれ」と、ひきつった顔で聞きながら、内心、夫の口から出るであろう言い訳を考えていた。きっと、「テーブルに出しっぱなしでいくから、ちょっと目をはなしたすきに、子どもが開けちゃったんだよ」とかなんとか、結局、私のせいにするんだろう。

「ごめん。子ども達が帰ってくる前に持っていけばよかったんだけど、気づいたら、もう開けててさ。明日、俺、ほかのもの買ってくるから」。

夫の口から出た言葉は、意外にも、謝罪であり、反省だった。少し拍子抜けした後で、夫も少しは成長しているんだなと思った。ならば、私も少しは成長しなければならない。「和菓子にしてね」とだけいって、それ以上、怒るのはやめにした。子育て家庭において、日々、成長していくのは子ども達だけじゃない。パパとママも、もう身長は伸びないけど、中身は成長を続けるのである。

 

『私 ベビーシッターなんです』

2010年4月号

『私 ベビーシッターなんです』

森田 公子

 

私の住むマンションに神戸ナンバーの車が停まるようになり、2~3歳の男の子2人を連れたご家族4人が引っ越してきました。私がミニチュアダックスを散歩させていると、声をかけたいようなかけたくないような。「怖いよ」と弟君。「平気だよ」とおにいちゃんも手を出したり引っ込めたりしていました。朝、7時半、決まった時間に2台の自転車で4人がご出勤です。忙しそうですが窓下にそんな姿を見ると、私も元気が出ました。

・・・

今日こそお伝えしよう!「私ベビーシッターなんです。困ったときはいつでも言って下さい!」でも、なかなかお会いできないままでした。

先日私が帰宅すると、そのご家族とバッタリお会いしました。お父様がお子さんを前に出し、

「さあ、言いなさい。」

「明日引っ越すんだよ。」

「・・・おばちゃんね。ベビーシッターなの。困ったときは言ってね・・・っていつも言いたかったの。仲良くしたかったの。」

するとお母様が

「え~~こんなそばにいらしたの?私、この子が病気のとき、明け方まで預ける方を探したこともあったんです。もっと早く知っていればよかった。」ふと見ると、いつの間にか犬に2人の男の子が手を出して仲良くなっていました。

次の日、神戸に向かう大型トラックが来ていました。夢じゃなかった・・・。自転車置き場から2台の大きい自転車も消えていました。