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2010年12月

『娘の夢』

2010年12月号

『娘の夢』

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

 

来月、長女は5歳になる。誕生日を心待ちにする娘に、「おおきくなったら、なにになりたい?」と聞いてみた。昨年は「めろんやさん」で、その子どもらしさが微笑ましかったが、今年は、なんと「ほいくえんのせんせい」だった。その一気に大人びた返答に驚き、思わず「なんで?」と聞いたら、「だって、ほいくえんのせんせいが大好きなんだもん」とすまして答える。その単純明快な理由に笑いながら、「さっちゃんは、どんな先生になるの?」と聞いたら、娘はたらたらと話し始めた。

「あのねぇ、泣いてる子がいたら、しゃがんで『どうしたの?』ってだっこしてぇ、けんかしてるお友達がいたら、『そおかぁ、そおかぁ』ってふたりのお話聴いてぇ、『じゃぁ、ごめんねしよっかぁ』って言ってぇ、ひとりぼっちの子がいたらぁ、『いっしょにあ~そ~ぼ』って言ってぇ…」

その言葉を聴きながら、なんだか目の奥がツーンとしてきた。娘が言うことは、きっとすべて、先生達が毎日園児に、そして娘にしてくれてきたことなんだろう。今年の春から夏にかけて、「仲間はずれにされるから」「意地悪されるから」と、通園したがらない時期があった。娘にも悪いところはあるのだろうし、子どもの話をどこまで信じていいものやら不安もあったが、送り迎えのさいに、時々、娘の話を先生に伝えていた。

先生が対処してくれたのだろう、秋になる頃には状況も改善したようで、笑顔で通園するようになった。もし、ひとりぼっちのままほったらかされていたら、保育園の先生になりたいとは思わなかっただろう。

近い将来、娘が学校の人間関係に悩むこともあると思う。そんなときは、保育園の先生になりたいと思った幼い頃の自分を思い出してほしい。そして「自分が被害を受けないよう、うまく立ち回る」のではなく、保育園の先生が日々、園児に降りそそいだ優しさを、少しでも他者に降りそそげる子になってほしい。