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2011年6月

素朴で懐かしい福島の風景

2011年6月号

素朴で懐かしい福島の風景

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

 

海外で暮らす友人からのメールを読むたびに、このたびの東日本大震災についての海外メディアの報道、特に原発に関する報道が、いかに誇張されたものであるかを実感する。日本の「フクシマ」という地名は「原発事故により放射能で汚染された地域」として、「チェルノブイリ」のように、あっという間に世全界に知れ渡り、記憶に刻まれることになった。それがなんともくやしく、やるせない。

福島は、脱サラして鉄道画家としての人生を歩み始めた主人を育ててくれた土地である。鉄道の要衝の地である郡山に移住し、それから5年間、県内各地の鉄道のある風景をスケッチ、撮影してまわるなかで、その素朴であたたかな風景に励まされ、地元の人々からも、たくさんの応援と優しさをもらったという。

私も主人と出逢って以降、結婚して埼玉に住むようになってからも、個展活動等で毎年、福島の各地を訪れている。そのたびに、四季折々の抒情あふれる風景に、薄汚れた心が洗われる思いがする。鏡のように空を映す水田も、彩り豊かな果樹園も、整然と作物が並ぶ畑も、素朴な優しさにあふれ、どこか懐かしい。

私は転勤族の子で故郷を持たず、特にほしいと思ったこともない。でも、福島の農村風景を見ていると、故郷はあるに越したことはないなと素直に思える。そして、主人が福島の風景をもっとも多く描いている理由が、なんとなくわかる気がする。

退社してからこれまでに主人が描いた全国各地の鉄道風景、約270点のうち、福島の風景は90点と、およそ3分の1を占めている。原発に近い富岡町・夜ノ森駅の、満開の桜が寄りそう駅舎、ホームからの眺め。趣のある南相馬市の原ノ町駅。すぐ向こうに海が広がるいわき市の末続駅のホーム。それらの絵を見つめながら、こんなにのどかで美しい町がなぜ、このような苦難を強いられなければならないのだろうと思う。

震災以降、主人と私は今年度の売上の1割を義援金として寄付することに決め、現在、各地で絵と詩画の展示販売会を行っている。義援金による支援だけにとどまらず、素朴で優しく懐かしい福島の風景を、ひとりでも多くの人に知ってもらえたらうれしい。主人のHP「もうひとつの時刻表」のギャラリーでも、たくさんUPしているので、興味のある方はぜひ、見てほしい。

http://www.k4.dion.ne.jp/~tadashim/

 

ピンクの指輪

2011年6月号

「さいたまシニアワーク」での発表から

「さいたまシニアワーク」の「ベビーシッター講座」を受講したシニア世代のシッターさんが大勢活躍しています。
シニアワークで発表された内容を一部掲載します。

 

ピンクの指輪

深澤初江(バンビーノクラブベビーシッター)

 

7ヶ月前、毎回新鮮な気持ちでワクワクしながらシニアワークに通ったことを思い出します。私がこのシニアワークを受講しようと思ったのは、昨年7月にそれまで長年勤めていた幼児教室を退職しまして、さあこれから何をしようかと悩んだ末に、できればこれまでの仕事の経験を活かして社会参加したいという思いからでした。

本格的にはこの4月からレギュラーの仕事が始まりました。私は現在東大宮に住んでおりますが、川口で3歳の女のお子様を週3回近くの幼稚園のバス停にお迎えに出て、その後ご自宅で保育するというものです。私は週3日、後の2日間は他のシッターさんが担当しています。

実際の仕事に就く前に、先方のお母様とお子様と面談がありまして、そのときはどんな方なのかと不安でしたが、お会いして見るととても感じの良い方でした。

早くお子様と仲良くなりたいと思いまして、初対面のときに折り紙でピンクの指輪を作り、ハートのシールを貼って持参しましたら、とても喜ばれました。私の名前は呼びやすいように“ふーちゃん”と呼んでいただくことにしました。

面談から4日後が第1回目のシッティングでした。園バスから降りてからだっこして「お母さんが帰るまでふーちゃんと一緒に遊ぼうね。」と言いながら家に帰りますと、制服のまま室内の滑り台を元気よくすべり、こちらを見てにっこり。ほっとした表情になりました。

5月のはじめには、こいのぼりを作りました。折り紙を切って模様をつけたのですが、英語の幼稚園に通っていて園ではこいのぼりを作らなかったようで喜んでいただけました。

ご自宅の鍵をお預かりしお母様がお帰りになるまで2時間ほどシッティングをしますが、あっという間に時間が過ぎてしまいます。その日によっては、だっこしたまま寝入ってしまうこともあります。

お母様のご要望が“明るく楽しく過ごさせてほしい”ということですので、それにそって接しています。いつもはお母様とゆっくりお話しする時間もないのですが、先日20分くらいですが子育ての悩みなどについてお話してくださいました。大忙しのお母様ですが“がんばりましょ!”とエールを送りたいと思いました。

“ふーちゃん、また来てね”と手を振りながら見送ってくださるお母様とお子様の笑顔に励まされ、ベビーシッターとしてお役に立てる喜びを感じながらこれからも歩んでいきたいと思います。