ホーム>子育てエッセイ>2012年3月

2012年3月

ランドセルを買った日

ときめきエッセイ 第98回

ランドセルを買った日

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

 

おととい、主人の両親と長女のランドセルを買いにいった。デパート内の売り場で、長女に候補のランドセルをいくつも背負わせては満面の笑を浮かべる義父母を見つめながら、今日にいたるまでの歳月が思いだされた。義父母にとって長女は待望の初孫であり、常にあふれるほどの愛情をそそぎ続けてくれた。まだ赤ちゃんの頃からランドセルを買うのをそれは楽しみにしていて、「気が早すぎる」と笑い合ったものだが、とうとうその日が来たのである。

この6年間、義父母には本当に世話になった。保育園に代わりに迎えに行ってもらったり、仕事で地方へ行くときは、泊まりがけで預かってもらうこともしょっちゅうだった。(3年前からは、次女も加わった…)。二人共もう年だし、実際は大変だったと思うが、頼むといつも「いいよ、いいよ」と笑顔で応じてくれ、その優しさに甘えてきた。子ども達が事故や怪我にもあわず、義母のつくる旬の野菜たっぷりの御惣菜のおかげで食べ物の好き嫌いもなく、ひねくれもせずに、ここまで大きくなれたのは、ひとえに二人の子育て支援があったからだ。

私自身、二人の存在にずいぶん助けられてきた。特に次女が2歳前後の時期は精神的に余裕がなく、ギャーギャーけんかし続ける子ども達に「うるさいっ!!」と叫ぶのは日常だったし、あまりにも言うことを聞かず、カッとなって手をあげたことも何度もある。週末は、主人は地方の仕事で不在になることも多く、土日の2日間、ひとりで子ども達の相手をし続けると、日曜の夜には耳鳴り&頭痛がはじまることもあった。

それでも、なんとか乗り越えられたのは、車で約50分の距離に住む義父母の存在があったからだ。「いざというときは、子ども達を預かってもらえる」。そう思える相手の存在が、どれほど子育て中の私の精神状態を支えてくれたことだろう。それがあったからこそ、仕事が大変なとき以外はできるかぎり頼らずに、夫婦で育ててこられた気がする。

買い物を終えてデパートから出たら、花屋が目についた。今のこの感謝の想いを、せめて花で伝えようと思い、園芸が大好きな義母に鉢の花を買おうとしたら、「いらない、いらない」と固辞するので辞めた。代わりに5月の連休は、みんなで泊まりがけでどこかへ出かけようと思う。温泉に孫達とつかりながら、はしゃぐ義父母の笑顔が目に浮かぶ。