ホーム>子育てエッセイ>2014年1月

2014年1月

ソウル・ジュエリー

ときめきエッセイ 第120

 

ソウル・ジュエリー

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター・詩人)

 

二十日は父の四十九日だった。独りになってしまった母に、最近、新聞広告で知ったソウル・ジュエリーを贈った。ソウル・ジュエリーとは手元供養品のひとつで、大切な人の遺灰(遺骨)をほんの少量、収納できるペンダントである。通常のものと変わらないお洒落なつくりで、シルバー、ゴールド、プラチナなど種類も豊富だ。母にはオープンハートのペンダントを選んだ。ハートの裏側にある直径4ミリのネジを専用ドライバーで開け、中の空洞に遺灰(遺骨)を納めることができる。それを身につけることで、亡き人をそばに感じられて、明るく前向きになれるという愛用者の言葉に、即、私も母に贈ろうと思った。父と私は相性が悪かったが、母は「瞬間湯沸かし器」の父にあわせる性格なので両親は仲が良かった。計5回の海外転勤も老後の田舎暮らしも常にいっしょで、子ども達が巣立った後も、夫婦二人の生活を楽しんでいた。

年明けに、下田市で唯一の書店、ムラカミ書店に挨拶に行き、昨年の4月から委託販売してもらっている詩画集「線路沿いの詩」の売上を精算してもらったら、予想外の金額で驚いた。なので、母にだけでなく私にもソウル・ジュエリーを買うことにした。「対人沈黙恐怖症」を少しでも改善するために。

私は友人知人といると、沈黙が非常に気づまりだ。黙っているのは無愛想で失礼な気がして、話しかけたり、質問したり、必死で話題を探してしまう。でも、そういうのをうるさがり、嫌う人は無論いるわけで、特に物静かな人物を好む父は、私のよくしゃべる性格をひどく嫌った。

また、しゃべる量が多いほど相手の気にさわることを口にしてしまうリスクも増える。ただ沈黙を埋めたくて口にした言葉が、相手を不快にさせてしまうこともある。父とも、これまでに何度それでバトルになったことか…。そのたびに「気を遣って話題をふっただけだったのに」と落ちこむ。私がひとり好きな最大の理由は、「なにか、なにかしゃべらなくては…」という強迫観念から解放されるからだと思う。

今年の私の抱負は、「対人沈黙恐怖症の改善」である。父の遺灰のつまったペンダントが、少しでも「効く」ことを真剣に祈っている。