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2015年8月

37.4℃の罪悪感。 ~「ベビーシッター」を利用して(2)~

37.4℃の罪悪感。

~ベビーシッターを利用して(2)~

白川 優子(ライター)

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職場復帰したばかりの頃、それまで熱一つ出さず、「丈夫な子」だと思っていたわが子は、保育園に行き始めてから、「発熱コール」「お迎えコール」の連続で、一週間まともに登園できることがなくなってしまいました。特に、疲れのでてくる木曜日か金曜日頃になると必ず発熱をし、そのまま土日は必死に看病、やっと月曜日に出社し溜まった仕事からかたづける…というサイクルは、意気揚々と復帰した私のやる気をカラまわりさせるように、しばらく続きました。

 

しだいに、仕事が思うようにできないあまり、だんだんと子供のことが一番に考えられないような、嫌な自分にハッとすることが多くなりました。
ご存知のようにお熱に関しては「37.5℃」というのが登園できるかできないかの1つの基準で、朝、体温計の数値を見ながら「37.2…37.3…」とじわじわ上がっていき、「37.4℃」で止まると「よしっ!!」と思ってしまう自分。携帯の着信に「○○保育園」と表示されると溜息をつき、いやいや出てしまう自分。
「子供と仕事とどっちが大事なの?」という究極のセリフがいつも、頭の中でまわっていました。大事なものが何かなんて、決まっているのに。

 

そもそもここまで悩んでしまったのは、指定の「病児保育所」が少々利用しづらかったことがありました。私の住んでいる町から電車の駅で5つ離れており、しかも駅からも遠いのに車利用は不可という立地、当日予約は基本無理なこと、冬場はいつも定員いっぱいで、2日前くらいからすでにキャンセル待ちなこと。一番気になったのは、「具合の悪い時に、慣れない場所で知らない保育士さんや、風邪っぴきのお友達に囲まれ、病状が回復するのか?」という点でした。もちろん上手に活用して、問題のないお子さんもいたと思うのですが、いろいろ悩んだ末シッターさんにお世話になることにしました。

 
 
病気の時でもシッターさんに自宅でみてもらえることというのは、様々な利点がありました。
まず第一に、一番落ち着く場所である自分のベッドで休めるという事。
お弁当でなく、あたたかい食事を、臨機応変に出してもらえるという事。特に具合が悪いといつも好きなものでも受け付けないこともあるので、様々なものを準備しておけば、シッターさんがいろいろ試してくれました。投薬に関しては、医師の処方があったものを預けてサインをすれば、それもシッターさんが確実にしてくださいました。

 

具合の悪い時に、「一緒にいてあげられなくてごめんね」と思う気持ちと、やらなければならない仕事との間で、母親はいつも葛藤しています。
けれど、子供は、慣れた場所で、慣れたおもちゃで、好きな時間にお昼寝をし、好きな時間に好きなものを食べてくれている、と思うだけで、私の罪悪感は最小限にとどまることができました。
「お迎えコール」が来るかもしれない…とドキドキしながら保育園に預けるよりも、母子ともに安心して一日が過ごせる環境がありがたく、何度も利用させていただきました。
シッターさんによる自宅での病児保育によって、子供は充分に休息が取れ、回復し、おのずと母親の心も一緒に回復させてくれたのでした。

 

次回へ続く