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「産褥シッター」を利用して 白川優子

もっと自由になって、お母さん。~「産褥シッター」を利用して (3)~

 

もっと自由になって、お母さん。

~「産褥シッター」を利用して (3)~

白川 優子(ライター)

 

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ファミリー・サポート バンビーノクラブのマンマサポーターは、産褥期が終わっても、産後一年まで利用することができます。育児も半年を過ぎると、「ひたすら寝たい」「ゆっくり食べたい」という、本能的な欲求を満たすための手助けをしてほしかった初期に比べ、マンマサポーターさんに依頼する内容も少し変わってきました。

 

我が子は頑なに母乳以外を受け入れない赤ちゃんでした。誰かに預けたくても、限度はMAX3時間くらいだったので、例えば終日の外出などは無理。往復時間を考えると、大好きな銀座ショッピングも、ワーグナーのオペラも、フルコースのディナーも全部封印でした。

「かわいい宝物に恵まれたのだから、自分のやりたいことはできなくても幸せ。」そう言い聞かせてはいたけれども、仕事も飲み会も3時間以上の外出も、自由にできる夫と比べて、妊娠中からお酒も飲まず、食事制限をし、3時間枠内の活動時間、すべて自分だけが我慢している気がして・・・と、そんな愚痴もシッターさんは聞いてくれ、こんな提案をしてくれました。「なにも、シッティングは自宅でなくてもいいんですよ。例えばお母さんのお買い物に、赤ちゃんを連れて私が同行して、合間に授乳だけしていただければ、終日の外出だってできますし、ゆっくりお食事したい場合はレストランの近くで赤ちゃんをみていることだってできますよ。もうちょっと、お母さんの自由な時間をとってみたらいかがですか。」

 

目からウロコでした。ベビーシッターさんというのは、家で赤ちゃんをみて留守番をしているという図式がずっとあったのですが、同行してもらうというアイデアはありませんでした。授乳問題がクリアできるとなると、活動範囲も時間も広がる!と、色々考え出しました。

とはいうものの、シッターさんにベビーカーを押してついて来てもらってショッピング、授乳してまた引き続きショッピング・・・?って芸能人でもないので考えてみたらそこまで買うものもないわ・・・と冷静に却下。

 

でも、そういえば最近夫と二人でゆっくりお食事をしていないな。3時間くらいかけてゆっくりフレンチでもしてみようか・・・シッターさんと赤ちゃんはどこにいてもらおう?レストランの近くでお散歩といっても、3時間もベビーカーでお外はさすがに疲れてしまう。ということで、考えたのが、ホテルの部屋を予約し、そのホテル内のレストランでお食事をいただくこと。銀座のホテルでシッターさんと待ち合わせをし、お部屋で授乳をしたら、赤ちゃんはフワフワのベッドでゴロンゴロンし、ご機嫌!何かあればシャワーもあるし、お部屋の中なら安心・・・と、授乳服からちょっとおしゃれ着に替え、夫とレストランで待ち合わせ。

久しぶりにいただいたフルコースの美味しかったこと!夫と会話がはずんだこと(子どもを「かわいいね、かわいいね」という話題ばかりでしたが)・・・心から贅沢な時間を楽しむことができました。実は、食事中に窓の向こうに、シッターさんと赤ちゃんの姿が一瞬見え、「???」と思ったのですがシッターさんがジェスチャーで「OK」の印をつくってくださったので、そのままおまかせしました。後からうかがうと、「しばらくお部屋の中でご機嫌だったのですが、ちょっと飽きてしまったようなのでお散歩に行きました」とのこと。自宅でなくても、臨機応変に対応してくださったことに本当に感謝しながら、銀座のホテルでディナーしちゃった!と夢のようでした。

 

世間では「子育て中なんだからガマン」と言われてしまうかもしれません。病気や仕事でもないのに子どもを預けることに、罪悪感がないわけではありません。でも、ほんの数時間、母親が自由な時間を持つことは、いけないことでしょうか。パートナーと二人だけのゆっくりした時間を持つことも、大切なことではないでしょうか。そんな私の気持ちを理解してくださったマンマサポーターのシッターさん。困ったときはもちろんですが、ちょっと贅沢をしたい時も、「そういう時間があってもいいんですよ」と優しく背中を押してくださったことに感謝なのでした。それからは今回のように外出に同行してもらい臨機応変に動いていただくのか、自宅で家事育児中心にみてもらうのか、目的も伝えて、きちんとそれにあったマンマサポーターさんを手配していただき、たくさん助けられながら短い育児休業期間は過ぎてゆきました。

 

(マンマサポーター利用のエッセイは今回で終わりです。次回からはマンマサポーターを卒業し、職場復帰してからのベビーシッター利用についての内容となります)

麺類、恋しや?~「産褥シッター」を利用して (2)~

 

麺類、恋しや?

~「産褥シッター」を利用して (2)~

白川 優子(ライター)

 

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産後びっくりしたことの一つに、「異常な空腹感」がありました。毎日毎日、一歩も外に出ないことも多いはずなのに、いつもお腹がグーグー・・・幸いなことに母乳の出に恵まれ、赤ちゃんもたっぷりと飲んでくれたので、食べても食べても、すぐにそれは栄養となり、母乳となって赤ちゃんにすべて吸い取られていくようでした。
毎朝炊きあがる三合のご飯は夕方までに空っぽになり、炊きなおすので炊飯器は24時間フル稼働。夜中も授乳のついでにとにかく食べたい。のそのそと起き出しては塩むすびを握っていましたが、できれば炊飯器からそのまましゃもじですくって口に運びたい、と思うくらい、常に動物的な空腹感に満ちていました。米びつのお米の減り具合が尋常ではないのと、暗闇の中で炊飯器に頭をつっこんでいた(ように見えた)私に衝撃を受けた夫が思わず発した、「飯くわぬ嫁!!(飯を食べないお嫁さんをもらったと思っていたが、実は夜中に頭に開いた大きな口に握り飯を放り込んでいた、という昔話)」に苦笑・・・。

そんな私の楽しみとなったのが、マンマサポーターのシッターさんの作ってくれる美味しいお食事をゆっくりいただけること。一人で赤ちゃんをみていると、オムツ換えに妨げられながらやっとこさ作ったご飯も、温かいうちに食べられません。「さあ食べよう!」という時に限って、なぜか赤ちゃんがぐずりだす・・・特にパスタ、ラーメン、そば、うどんなど、麺類が大好きだったのですが、産後はすっかりNGメニューになってしまいました。片手で赤ちゃんを抱っこして揺らしながら、冷えて伸びきった麺類をいただく悲しさといったら…。
『「いただきます」 言った瞬間 赤子泣く』などと、育児あるある川柳をつぶやくことで自分をなだめながら、空腹で孤独な毎日を送っていた私にとって、シッターさんが来てくれる日は「温かい食事を温かいうちに食べる」ことができ、大好きな麺類もいただける、本当に幸せなひと時だったのです。

マンマサポーターができるシッターさんはあちこちで引っ張りだこらしく、毎回同じシッターさんをお願いすることはできないこともありましたが、それも私にとっては、「シッターさんによってお食事の味が違う」と、ちょっとした楽しみになっていました。私は食事制限のある桶谷式の母乳指導を受けていたのですが、それも伝えると限られた食材・調味料の中で、皆さん上手に様々なお料理を作ってくださいました。
自分で作るとどうしても同じようなものになってしまうのですが、レシピを聞いたり、色々なバリエーションのお食事をいただけるのは、外食もままならなかった私にはありがたいことでした。

「好きな時に寝る」「食べたいものを食べる」そんな当たり前の日常が、赤ちゃんを産んだとたん、当たり前でなくなる。赤ちゃんは可愛いけど、オムツ換えと授乳の無限ループの間に無常に日は暮れていく。そんな孤独と寝不足で、身も心も空腹だった私を満たしてくれ、育児を楽しくしてくれたマンマサポーターのシッターさんたち。同じような思いをしているママたちに、ひろくこのサービスが行き渡ればよいなと、思っています。
                         

次回へ続く

産後、初めて眠れた日。~「産褥シッター」を利用して (1)~

今月から、数回にわたり、お客様と弊社のベビーシッターとの関わりをつづったエッセイを連載していきます。

 

産後、初めて眠れた日。

~「産褥シッター」を利用して (1)~

白川 優子(ライター)

 

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産後、実家や頼れる誰かがおらず、一人で過ごさなければならないママは少なからずいらっしゃることでしょう。私もその一人でしたが、長男出産後、母のすすめで初めて「マンマサポーター(産褥シッター)」なるものを利用してみました。産後すぐで動けないママにかわって、家事もしてくれるというサービス。

来てくれたシッターさんは、優先順位をつけて何をすればよいか毎回聞いてくれました。赤ちゃんの沐浴等もしてくれますが、山のような洗濯物や片付かない部屋の中が気になっていた私は、迷わずいつも家事を頼んでいました。それはそれで、とてもありがたかったのですが・・・

 

ネットなどで調べると、“疲れない育児のコツ”に、「赤ちゃんが寝たら、その間に何かしようと思わず、ママも一緒に眠ること」などとありますが、私の場合、赤ちゃんが寝た瞬間にタイミングよく眠くなれるほど器用ではなく、逆に「今だ!さあ寝なきゃ」と思うとかえって目がさえてしまったりして、どうもうまくいきませんでした。

運よく眠れたとしても、深~い眠りに落ちた一番気持ちよい瞬間に「ホギャアァ!」と起こされたりすると、ずっと起きていた方がましだったのではないかと思うことさえありました。

そんな日々が続き、よほど眠りに飢えていたのか、シッターさんが来てくれたある日、「今日は主に何をしましょうか?」と聞いてくれた時、思わず「寝たい・・・」とつぶやいていました。

その後、そのまま地球の裏側まで沈んでしまうのではないかと思うくらい、深い深い眠りに落ち、泣き声ひとつ聞こえず、静寂の中で、何時間眠ったでしょう(実際は1時間くらいだったのに、長時間に思えた程の産後初めての熟睡だったのです)。

何かに起こされるのではなく、気が済むまで寝て、自然に目覚めたのも、とても久しぶりの感覚でした。

あまりに静かだったので、赤ちゃんも寝ていたのかとシッターさんに尋ねると、「ずっと起きていましたね~いい子でしたよ!」とニコニコおっしゃいます。思わず「この人、神?」と・・・少々大げさですが、それくらいありがたかったのです。

その日、久々の熟睡効果からか、シッターさんが帰ってからも、赤ちゃんがとても可愛く思え、そして色々なことがはかどりました。

 

マンマサポーターには、せっかくなので、家事を色々やってもらわないと損、くらいに思っていたのですが、私が一番必要としていたのは、ただただ「眠らせてくれる時間」だったことに気付きました。

さすがはプロ、ギャンギャン泣く声も聞こえず、いつも心からリラックスできる時間をくれました。

マンマサポーターとの上手なお付き合いの仕方がだんだんわかってきてからは、赤ちゃんがご機嫌で起きている時は私がみて、その間シッターさんはテキパキと洗濯物をたたんだり、要領よく食事を作ったりしている。フギャフギャ泣くと飛んできてくれて、上手にあやしてくれる。シッターさんが帰った後は、家の中はきれいになっていて、食事はできていて、キッチンも片付いていて、何より自分の心がスッキリしていました。

そんなことから、身体も心も休ませてくれる「マンマサポーター」という存在を、とても心強く感じたのでした。

 

次回へ続く