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子育てエッセイ

はじめて出会う「育児の百科」小学館

2004年4月号

『はじめて出会う「育児の百科」小学館』 中舘慈子

二冊の育児書の間で悩みながら子育てをした経験がある。初めての出産と子育てをした夫の赴任地の小さな町には、親しい知人も育児のアドバイスをしてくれる人もなく、頼れるのは育児書だけだった。二冊の育児書には対照的な育児の手法が書かれていて母親初心者の私は、授乳の間隔、抱くタイミングにすら戸惑っていた。目の前の赤ちゃんの要求を読み取るのではなくて、「正しい育児の手法」に従わなければならないと思い込んでいたのだ。三十年ほど前のことである。今でも、育児書のマニュアルどおりに子育てができないと悩み、かえって育児不安に陥る母親も多い。

「はじめて出会う育児の百科」を手に取ったとき、心が躍った。常に新しい視点で現代の子育て支援の研究を続けてこられた教育研究家、汐見稔幸先生、多数の病気の子どもと健康な子どもを実際に温かく診ておられる小児科医の榊原洋一先生、そして幼児の言葉の相談・指導を通じて熱心に子どもの発達に関わる活動を続けていらっしゃる言語聴覚士の中川信子先生、この三人の執筆、監修による「育児書」だったからである。

「からだ」「ことば」「こころ」三つの分野の専門家が最新のデータをもとに執筆した初めての育児書、と帯に謳ってある。従来の育児書が身体の発達に目を向けがちだったのと大きく異なる点である。開いてみると、豊富なイラストがあり、読みやすい印象を受ける。しかし、内容は非常に充実している。各月齢、年齢の発達が「からだ」「ことば」「こころ」の三つの視点から関連性を持って述べられ、発達を総合的に把握できる。

何よりも親にとってうれしいことは、子育てに自信の出る言葉が随所にちりばめられていることである。たとえば「自分のなかにある子育ての力を信じて」という文字が目に飛び込む。

次に感動することは赤ちゃんからのメッセージが直接響いてくることである。「赤ちゃんのこころ」が赤ちゃん自身のことばで分かりやすく語られている。さらに心強いことは、育児サポートシステムにも言及されていることである。また、具体的な遊び方、ことばのかけ方なども楽しいイラストと共に学べる。

この本は、マニュアル書ではなく子育てを力強く応援してくれる読む育児書である。妊娠を知ったすべてのご両親にこの一冊の育児書をぜひお薦めしたい。*社団法人日本家族計画協会発行「家族と健康」の新刊紹介に寄稿した文です。

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