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子育てエッセイ

プーさんの鼻

2005年12月第1号

『プーさんの鼻』 中舘慈子

俵万智さんの最新歌集を手にしました。
子育てをしている人、子育てをしたことのある人ならだれでも共感できる思いが見事に詠われています。344首の中から20首を選ばせていただきました。

プーさんの鼻

腹を蹴られなぜかわいいと思うのかよっこらしょっと水をやる朝夕飯はカレイの煮つけ前ぶれを待ちつつ過ごす時のやさしさ
秋はもういい匂いだよ早く出ておいで八つ手の花も咲いたよ母となる俵さんのやさしさが胸の奥底までじーんと伝わってきます。どこまでも歩けそうな皮の靴いるけどいないパパから届くバンザイの姿勢で眠りいる吾子よそうだバンザイ生まれてバンザイ泣くという音楽があるみどりごをギターのように今日も抱えて生きるとは手を伸ばすこと幼子の指がプーさんの鼻をつかめり
生まれたばかりの幼子はみずみずしい感動を与えてくれます。生きるとは手を伸ばすこと・・・大人になっても人はまだ手を伸ばし続けているのでしょうか。我よりも年若きベビーシッターに子は生き生きと抱かれており子を真似て私も本を噛んでみる確かに本の味がするなりろうそくの炎初めて見せやれば「ほう」と原始の声をあげたり夏の子ども夜泣きするおまえを抱けば私しかいないんだよと月に言われる舟になろういや波になろう海になろう腕にこの子を揺らし眠らしもじょもじょぷつり初めてのもじょもじょぷつり今朝吾子はエノコログサの感触を知るママとのみ呼ばれて終わる離乳食講習会のテキスト軽し

木馬の時間

初対面の新聞記者に聞かれおりあなたは父性をおぎなえるかと揺れながら前へ進まず子育てはおまえがくれた木馬の時間
靴を履く日など来るかと思いいしに今日卒業すファーストシューズ半年で買い換えてゆく子の靴にわが感慨も薄れてゆかん
「靴」は俵さんにとって特別な感慨を思い起こさせるものなのでしょう・・・。月まで行って
着ぶくれて石拾う子よ人類は月まで行って拾ってきたよ
リセットのできぬ命をはぐくめば確かに我は地球を愛す

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