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子育てエッセイ

フィレンツェの幼稚園視察旅行から

2006 年7月号

『 フィレンツェの幼稚園視察旅行から 』

中舘  慈子

6 月 23 日  イタリアフィレンツェの2つの幼稚園の視察に行ってきました。  

○尊重することを学ぶ園  
ひとつは伝統的なカトリックの園  Scolopi。 道路に面した大きなドアを開けると、その中はもう Scolopi。重厚な美しい絵が壁にいくつも飾られていました。とても魅力的な美人、副学長の Laura  Gallerani が、ぶしつけな私たちの質問に1 時間あまり快く答えてくださいました。  今は小・中学校が併設されており、秋から保護者の要望に応じて幼稚園を新設するとのこと。日本の幼稚園でしたら 4 クラス分には当たるかと思う虹色の柱のあるスペースが、約 20 人の新入園児のために用意されていました。  印象的だったのはさながら小さな科学博物館のような理科室。剥製の鳥や動物が自然の生態のように飾られていたこと、「音」「光」「動力」などさまざまな分野の実験器具が展示されていて授業で実際に使うということ、もちろん骸骨もありました。小学校のころ科学室の骸骨はこわかったし、独特なにおいがしたのをちょっと思い出しましたが、もちろんこれほど充実していませんでした。イタリアでは小さいときから「本物の環境」を与えることを大切にしているのだとため息をつきました。  

園の方針は「教育する」というより「一緒に過ごすことを大切にすること」「遊びの中で学ぶこと」。大切にしていることは「他の友達を尊重すること」「ものを大切にすること」「場所を大切にすること」。こんな環境の中で人を大切に尊
重し、地域や国を大事にする気持ちが育まれるのかもしれませんね。  

○夢を育む園  
次に行ったのはインターナショナルスクールKindergarten。こちらはハンサムは副園長先生  Leonardo  Amulfi、がやはり 1 時間以上質問に答えてくださいました。  
この園はいろいろな国の  どちらかというと恵まれた層のこどもたちが通っていて、日本人も通っていたそうです。ちなみに80%が共働きですが、母親の職業は医師  弁護士  教師などということ。手作りの昼食(もちろんパスタやピザ!おいしそう・・・)やおやつがついて、1 ヶ月 400 ユーロ。日本の感覚から行けば結構安いのではないでしょうか。  開園時間は9時30分から18時。ただし16時以降が延長保育扱いになるそうです。  毎日の活動に「座ってきちんと集中する時間」「自由にのびのびと動く時間」のほかに「面白いことをする時間」があるというのがとても印象的でした。「面白いこと」というのは、楽しいし、大人になっても必ず「面白いこと」をさがせる人になるし、いいですね。「面白いことを生み出す力」を育むというのは。 

さらに、1 年に 1 人、空想上の人物を作ってイメージを膨らませる  という活動があるそうです。今年は「巨人」。子どもたちがみんなでシチュエーションを作って、物語を作っていくのです。「プロジェクト活動」のようなものかと思われますが、「空想上の人物」というところが面白いですね。  「面白いことをする」「空想上の人物を作る」って、実は人間にしかできないすばらしい創造性、想像力、そして夢を育むのではないでしょうか。  飾ってある絵や壁面構成は、類型的なものが並んでいて、ちょっと日本の幼稚園のよう・・・・。でも、はじけるような笑顔のかわいい園児たちは「夢見る天使」のようでした。  

日本の幼児教育  保育のあり方が今大きく変わろうとしています。もちろん利用者のニーズにあった園作りは大切ですが、園として子どもに何を与えていくのか、何を育むのかといった理念を忘れてはならないと思います。

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