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子育てエッセイ

在宅ワークママのシッター活用

2007 年3月号

『在宅ワークママのシッター活用』
     
浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター)

このところ、「教育と愛国心」をテーマにした長編ルポにかかりきりになっている。1歳の娘の相手をしながらの執筆で、なかなか仕事がはかどらずにイライラしがちな私を見かねてか、とうとう夫が「たまにならベビーシッターを頼んだら」と言った。その瞬間は「私が家にいるのに、もったいない」と感じもしたが、「それで仕事の質も効率もあがって、娘と私の精神状態も落ち着くのなら」と、トライしてみることに決めた。

もっとも集中したい日時を決め、クラブ  デル  バンビーノにシッターを依頼する。早速、幼稚園や保育ルームでの勤務経験がある 50 代のシッター、Sさんを紹介された。承諾後、前日の夜、Sさんから確認の電話を頂く。丁寧な話し方と、やさしげな声にほっとし、電話による第一印象ってこんなに大きいんだなぁと実感した。私は、かつてシッターをしていた頃、はじめて伺うシッター先に、こんなに感じよく電話をかけていただろうか。

当日、最寄のバス停までSさんを迎えに行ったら、50代とは思えない上品なマダムが立っていてびっくりした。歩きながら、おしゃべりもはずむ。家に到着すると、Sさんはソックスをはきかえ、エプロンをつけて手を洗うと、早速、娘と遊びはじめた。はじめはもじもじしていた娘だが、5分もしないうちに遊びはじめ、私はお茶をいれて簡単な説明をすませると、即、仕事部屋にこもり、仕事を開始する。ときおり、「さっちゃん、すごぉい!」とほめられて、きゃっきゃと笑う娘の声が聞こえるたびに、「さすがプロだわ~」と、にんまりしてしまう。

だが、1時間を過ぎた頃から、娘が泣き出した。心配で様子を見にいき、授乳する。それでも泣きやまないので、夜の離乳食をちょっと早いけどチンして、Sさんに食べさせてもらうことにする。仕事部屋に戻ってからも何度か泣き声が聞こえたが、ここでまた出ていっては、シッターを頼んでいる意味がない。心を鬼にして耳栓をし、一心不乱に仕事をつづける。たったの3時間でも、集中すれば、こんなに進むものなのだと我ながら驚くほど、はかどった。

終了10分前にリビングに戻り、お茶を飲みながら、最近、受けようか迷っていた水疱瘡の予防接種などについて相談する。育児の先輩でもあり、保育士や幼稚園教諭の免許を持つSさんのアドバイスは、とても心強い。帰りもバス停まで送るという私にSさんは恐縮したが、私がもう少しSさんと話したかったのだ。夜道をおしゃべりしつつ歩きながら、シッターには、育児中の母親の孤独感や閉塞感を癒す要素もあるなぁと思った。まだまだ、日本ではシッターの利用は経済的に余裕のある家庭に限られているけれど、企業だけでなく、自治体からの補助などでシッター利用がもっと普及すれば、母親の育児ノイローゼや虐待も確実に減るだろう。
 
帰宅後、Sさんが記入したサービス実施確認表を読む。私が仕事に没頭している間、娘とどう過ごしたかが詳しく書かれていて、「もうそんなことができるんだ」など、私が知らなかった、または気づかなかった娘の側面も知ることができておもしろい。おむつチェックもまめにしてくれている。娘は久しぶりにじっくりと遊んでもらったせいか、しごくご機嫌でお風呂の後はすぐに寝ついてくれ、久しぶりにゆったりとした夕食後のひとときを過ごした。Sさん、ありがとう。

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