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子育てエッセイ

「会う」って、いい

ときめきエッセイ第109回

「会う」って、いい

浅田志津子(教育・福祉関係のルポライター・詩人)

 

母親になって以降、日々の忙しさを理由に、学生・独身時代の友人ともずいぶん疎遠になってしまっている。でも、実際は忙しさだけが理由ではない。かつては同じ世界で生きていた友も、今は異なる世界・人間関係の中で生きているわけで、現在の日常における接点がなにもない相手と過ごす時間に、多少のぎこちなさや一抹の淋しさを感じてしまうせいもあると思う。

「子連れで遊びにきてよ」と言われていて、せっかく近くまで行く機会があっても、相手も働くママだと「休日こそ、たまった雑務をしたいだろうし…」と、結局、会うのを躊躇してしまう。かくして、もう何年も会ってない、年賀状のやりとりのみの友人が増えていく…。

先月、学生時代の友人から、3月に地方へ転勤するというメールをもらった。たがいに日程調整しあい、子ども達を親に預けて渋谷で落ち合い、約3時間、一分一秒を惜しむように、あらゆることを語り合った。話しながら、彼女にまつわるさまざまな出来事を思いだしていた。

学生時代、私のアパートに彼女が数日間泊まり、テレビのドラマを見ながら恋愛談議をし、布団に入ってからは社会問題、将来、子どもにつけたい名前の候補など、あらゆるテーマについて語りあった。

独立当初、レギュラーのシッター先で、テレビでニュースを読む彼女をときどき見た。私が「友達だよ。今度、いっしょにコンサート行くよ」と告げたら、子ども達が大層驚いて私も鼻高々だったが、その直後、上の子に真顔で「友達なのに、なんでこの人はテレビでニュース読んでて、しづさんはうちのお風呂洗ってんの?」と聞かれた時はツラかった…。

(注釈:原則、お風呂洗いはシッターの仕事ではない。子ども達を入浴させるにあたって、洗わねばならない状況だったのである)

私の結婚式では、彼女が着物姿で「友人代表」のいいスピーチをしてくれた。ビデオ係を引き受けてくれた男性編集者が、後日、上映会を開催したら、新婦の私より彼女を撮っていた(笑)。

あれこれ思いだしていたら、目の前で笑いながら話す友に、いとおしさがこみあげてきた。40を過ぎて、そんな感情を抱ける友がいることが、少しうれしかった。「会う」って、やっぱりいい。

 

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