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子育てエッセイ

認定ベビーシッターと今後の課題

2002年9月号

『認定ベビーシッターと今後の課題』  中舘 慈子

1 認定ベビーシッター

2000年、悲願とも言えた「ベビーシッター」の資格ができた。厚生労働省認可 社団法人 全国ベビーシッター協会(以下「協会」とする)の認定する「ベビーシッター」の資格制度が発足したのである。これは、協会の主催する「新任研修」および実務経験を経て受講できる「現任1研修」を終了し、「認定試験」に合格したベビーシッターに与えられる資格である。施設型保育は「保育士」の資格を必要としながら、個別保育は、ボランティアで十分であるという価値観、バイト感覚でなされるものという先入観は依然として払拭されていない。現場においても、施設の保育者は「先生」と呼ばれ、ベビーシッターが子守り扱い・使用人扱いをされて、その社会的地位の低さに寂しい思いをする現実もある。弊社で実働しているベビーシッターは、保育所・幼稚園・学校の先生の経験者、子育て経験者などが多く、ひとりひとりの子どもの個性を温かく受容し、きめ細やかな個別保育を行っている。私のここで述べる「ベビーシッター」は協会の目指す「認定ベビーシッター」であり、個別保育のプロフェッショナルである。

2 あらゆる保育ニーズに応えられる

① 送迎を伴う在宅保育

日が暮れると鳥は巣に帰る。「からすと いっしょに」子どもたちが家に帰ったのは、もう過去の出来事なのだろうか。日が暮れるころに保護者に代わって保育所の迎えに行き、子どもを家につれて帰ってケアをする・・・ ベビーシッターは送迎を伴う在宅保育を行う。「葉っぱを取ったり、お散歩中のおじいさんと握手したり、ゆっくりと帰りました。」保育園の迎えから子どもの家に向かうベビーシッターの記録である。時がゆっくりと流れている。集団では味わえなかった個と個とのふれあいをベビーシッターと握った手のぬくもりといっしょに子どもは感じる。「シッターさんなんて、大嫌いだ! ママとでなくちゃ、帰らないよ。」ベビーシッターを困らせる子どももいる。私たちは「困らせる言動」を子どものメッセージと受け取っている。子どもは集団や家庭ではいわゆる「よい子」であっても、何か満たされない思いを内に秘めていることがある。このような思いが先生でも親でもないシッターに向けられる。「そうかあ。ママがいいのね。でも、私はK君のことが大好きよ。」いつか、K君もシッターとしっかり手を握って帰るようになる。自分ひとりのために迎えに来てくれる人、どんなに駄々をこねてもすべて受け入れてくれる人,こんな存在であるシッターとの間に信頼関係が築かれ、K 君の心が開かれたのである。家は子どものお城である。子どもは、自分の食器で食事をして、家のお風呂に入って、自分のベッドで休む。途中で揺り起こされて寒い道を帰る必要もない。保護者にとってもこれ以上の安心はないのではないだろうか。一方、さまざまな理由で、施設での延長保育を望む家族もいるだろう。ベビーシッターを望む家族、施設での延長保育を望む家族が、同じ条件でいずれかを自由に選択できるようにならないものだろうか。

② 在宅健康支援サービス

子どもが熱を出す。「さあ、大切な仕事を任されて、がんばろう!」と張り切った矢先に。回復期も、まだ保育園に登園させることができない。夫も仕事を休めない。・・・働く母親なら、子どもの病気で仕事を休まなければならない経験をしたことがあると思う。こんな時トレーニングを受けたシッターが家庭に行って、回復期の子どものケアをすることができる。こうすれば、はるばる「病後児のための保育所」まで病気の子どもを連れていく必要がないだろう。協会および協会会員は新任・現任1研修受講者を対象とした「実践研修」で在宅健康支援サービスに関する研修を行い、専門性の向上に努めている。ベビーシッターサービスは、自宅待機をしているベビーシッターに連絡を行い、情報を伝えて保育現場に派遣するシステムである。したがってあらゆる保育ニーズに最も柔軟に対応できる。たとえ、数時間以内に派遣して欲しいと言うニーズでも、休日の早朝から深夜まで保育して欲しいと言うニーズにもできるかぎり対応できるような人材の確保と手配を行っている。

3 育児不安、虐待を未然に防ぐことができる

① 産褥期のサポート

産褥期にはマタニティーブルーと言われる状態、すなわち育児ノイローゼ、育児放棄、さらに乳児虐待などの状態になる可能性がある。また、母性の基礎が培われる大切な期間でもある。シッターは、家庭を訪問して、新生児の沐浴、必要であれば家事の援助を行う。援助者がいることそのものが母親にとって大きな精神的なサポートになる。

② 保護者のリフレッシュのための保育

子育てには少し息ぬきが必要である。育児の責任を一手に引き受ける専業主婦も、仕事と育児を両立させるワーキング ウーマンも、時にはリフレッシュのために子どもや仕事から離れた自分のための時間を持つことが必要だと思う。子どものためにも、子育ては夢のある楽しいものであってほしい。育児に直接関わる母親が、不安にかられ、虐待をしないまでもいらいらしているとしたら、子どもの人生も不安に満ち、殺伐としたものになりかねない。夢があり楽しく子育てをするには、保護者がゆとりのある気持ちを持つことが必要であろう。シッターが訪問したことで育児不安を解消し、虐待を未然に防いだ例は多い。第2子出産後母親が強い育児不安に陥り、赤ちゃんの泣き声を聞くとパニックになったが、毎日数時間シッターが赤ちゃんを外に連れ出すことで、母親の精神的負担を軽くした。半年も経つと母親の状況は快方に向かい、3年経った今では、明るい声でリフレッシュのための依頼をしてくるといった例もある。

3 今後の課題

ここまで、ベビーシッターが、あらゆるニーズに柔軟に対応できる保育の形態であること、育児不安、虐待などを防ぐためにこれからの子育てになくてはならないシステムであるということを述べてきた。次に、今後の課題について触れてみたい。
ベビーシッターの一定以上の資質を確保するという課題については「認定ベビーシッター」の資格ができたことで、可能になった。さらに個別保育ならではの専門的な保育分野での研修も行われて、資質の向上への努力が続けられている。大きな課題は「ベビーシッター料金が高い」ということであろう。1時間1500円。これが協会会員会社の最多価格である。以下、料金の壁を破るいくつかの手法を考えてみた。

① 在宅保育サービス援助事業等の拡大

協会と協定を結んだ企業に勤める従業員が、就労のために1日1回1500円の在宅保育サービス割引券を利用できるシステムである。現在、一企業あたり利用できる枚数が,年間1200枚以内であるなどの様々な制約がある。今後、利用枚数の見直し、利用目的の多様化、利用手続きの簡便化、などの問題点を検討する必要がある。この制度が一種のバウチャー クーポン券として、より利用しやすいものになることを期待している。その他、2000年に開始された「双生児家庭へのベビーシッター訪問事業」は、双生児家庭のリフレッシュのために公的補助が出るという画期的な試みである。さらに、より多くの家庭がリフレッシュのためにベビーシッターを利用できることを目指したい。

② 公的補助のより公平な配分

すべての児童が、未来の日本を支える可能性を持っている。それにもかかわらず、家庭で育てられている児童には月5000 円から1万円の「児童手当」が満6歳になるまで与えられるのみである。所得制限を越える家庭では、児童手当を受けることすらできない。児童手当の金額そのものも、ドイツ・イギリス・フランス等と比較して、半額に過ぎなく、受給期間も短い。一方、施設型保育を利用すれば、1カ月に数万から数十万円の公費補助の還元を受けることができ、なおかつ児童手当を受けられる。海外と比較してみると、待機児童対策という観点から行われる日本の公的補助が施設型保育、すなわち保育所における保育に偏重した形で行われていると言える。限りある財源の中から公的補助がすべての児童に対してより公平に行われる方法を検討する時期がきたのではないだろうか。

子どもが育つ 魔法の言葉

2002年8月号

『子どもが育つ 魔法の言葉』

夏が駆け足で通りすぎていきます。今回は ドロシー・ロー・ノルト の言葉をお届けしましょう。子ども達はこうして生き方を学びます。

批判ばかり受けて育った子は 非難ばかりします
敵意に満ちた中で育った子は だれとでも戦います
ひやかしを受けて育った子は はにかみ屋になります
ねたみを受けて育った子は いつも悪い事をしているような気持ちになります
はげましを受けて育った子は 自信を持ちます
ほめられる中で育った子は いつも感謝することを知ります
公明正大な中で育った子は 正義心を持ちます
思いやりのある中で育った子は 信仰心を持ちます
人に認めてもらえる中で育った子は 自分を大事にします
仲間の愛の中で育った子は 世界に愛を見つけます

何度読んでも はっとさせられる言葉ですね。

ベビーシッターQ&A

2002年7月号

『ベビーシッターQ&A』

「ベビーシッター」というと、まだまだ遠い存在、利用するのが不安、という方もいらっしゃるかもしれません。「メアリー ポピンズ」や「サウンド オブ ミュージック」等の映画やテレビでアメリカのホームドラマに出てくるベビーシッターやナニーを思い浮かべる方もいるかもしれません。
日本の「ベビーシッター」は少し違います。子どもを大切にする日本では、中高生のバイトに赤ちゃんを任せることはしないでしょう。やはり有資格者 子育て経験者で研修を受講したプロのベビーシッターを希望するでしょう。
日本のベビーシッターは「幼稚園」「保育所」などの施設型の幼児教育・保育と並んで、あらゆる子育て中の皆様に活用していただきたい在宅型保育なのです。
今回はベビーシッターを利用したことのない方を対象に、Q&A でベビーシッターについてお答えします。

Q ベビーシッターというと、アメリカの中高生のバイト、「子守り」を思い浮かべます。本当に安心して預けられるのでしょうか?

A 日本のベビーシッターは、会社の面接試験に合格し、研修を受けたプロのベビーシッターです。弊社の場合、有資格者・子育て経験者がほとんどで、資質の高い安心できるスタッフばかりです。協会認定の「認定ベビーシッター」資格保有者も多数います。万一の事故に備えて会社でベビーシッター総合保障制度という保険にも入っています。

Q ベビーシッターさんが来るのに、掃除をしなければいけないので気が重いのです。それに、留守中、入って欲しくない部屋もあるのですが・・・。

A 特別なお掃除は必要ありません。普段のままで安心してお出かけ下さい。「使って良い部屋」「入ってはいけない部屋」をあらかじめ、伝えておきましょう。入って欲しくない部屋には絶対入るようなことはありません。

Q 同じ曜日、同じ時間で継続的に頼む場合、同じ人にきてもらえますか?

A はい、レギュラーのご希望の場合、原則として同じスタッフがうかがいます。どうしてもやむをえない事情ができたときには、ご相談させていただきます。

Q 「今日、明日頼みたい」というときに、対応してもらえるのですか? また、そのようなときに、いつも同じ人に来て欲しいんですけれども。

A あらかじめ入会・登録しておいていただければ、当日・翌日のご要望にも対応致します。ただし、当日の場合、おさがしして伺うまでに約3時間ほどかかってしまいます。 留守番電話に入れておいていただければ、少し早く探し
始めることもできます。翌日の場合は、午後6時までにお申し込みいただければ、必ずお探しします。 「必ず同じ人」というお気持ちはとてもよく分かります。できる限り努力してみますが、レギュラーとしてのご利用でない場合は、ご希望のスタッフがどうしても都合がつかないこともあることをご了解いただきたいと思います。

Q 料金が高すぎるような気がするのですが。

A 公的助成制度がないこと、1対1の保育であることからどうしても保育所などに比べると料金が高くなってしまいます。現在、こども未来財団の「ベビーシッター育児支援事業補助券(1日1回 1500円)」「双生児育児支援事業補助券(年 1~2回1回9000円)」の制度があります。詳しくはお問い合わせ下さい。福利厚生会社によっては「ベビーシッター割引券」を出しているところもあります。 ともかく ベビーシッターサービスは3時間約5000円で いつでもお子様の安全と保護者の皆様の自由な時間を確保できる保育サービスです。

Q 食事は作ってもらえるのですか?

A 乳幼児の場合、お子様の安全のために食事作りは「温める程度」とさせていただいています。ただし、お子様のいない時間、たとえばお迎えの前にうかがってお食事を作ることもできます。具体的にご相談下さい。Q おけいこごとをさせることもできるのですか?

A 弊社のスタッフには「音楽大学」「美術大学」出身者や「英会話」の得意なものもいます。ベビーシッターとチューター(家庭教師)を兼ねてご利用されるケースもあります。 具体的にご相談下さい。

Q どんな場合に利用できますか?

A 上のお子様の保護者会等ご用事がある時の下のお子様の保育保育所 幼稚園からご自宅や教室までの送迎を依頼したいとき冠婚葬祭 ご家族のご入院 などやむをえない場合お買い物 ご夫婦でコンサート ご旅行など リフレッシュのため
産後のサポート 病気のお子様の保育も致します。その他、24時間365日 どんな場合でもご利用いただける本当に便利な保育サービスです。

2002-06-01

2002年6月号

『子どもを非行化させるコツ』

チーフサポーターさんから、こんな便りが来ました。「先日 藤沢のM ちゃんのシッティングで行った児童館にあった『子どもを非行化させるコツ教えます』というプリントをいただいてきました。ファミリー・サポートのお客様にはあてはまらないことばかりですが、2番目の『がまんさせること』は、幼児期にきちんとしつけられていたほうが良いと、小学生のシッティングをしていると感じることがあります。なんとか若いお父様、お母様に伝える方法は無いものかとコピーを送らせていただきます(T.U)」参考までに、全文を載せてみました。

『子どもを非行化させるコツ』

子どもを非行化させるコツ教えます ―実態から見たベスト10-

小田原少年院

  1. 1 幼いときから冷たく放りっぱなしにせよ。遊び相手になるとかスキンシップは全く無用。
  2. 2 欲しいと言ったら何でもすぐ買い与えよ。がまんさせることは絶対に禁物。
  3. 子どもの間違いや失敗は理由を問わず叱りとばせ。口で言うよりひっぱたくほうがいっそうよい。
  4. 子どもがどこで何をして遊ぼうが気にとめない。遊び仲間についても全く知る必要がない。
  5. きょうだいやよその子と比較して、おまえはバカだ、だれだれを見習え! を連発せよ。
  6. 忙しいのに食卓のだんらんなど無駄。子どもの話題や関心など無視すれば良い。
  7. 子どもが善いことや努力をしてもめったにほめるな。むしろ、ごまかしや裏切りなど悪事をうまくやったら必ずほめよ。
  8. 子どもの前では決して夫婦間の意見を一致させるな。特に父親は難しい問題からうまく逃げよ。
  9. お金こそ人生のすべてであると身をもって教え込め。宗教や精神生活を軽蔑させよ。
  10. 子どもの前で常に法律、警察、学校、役所の悪口を言い社会のきまりや公共機関への敵意を植えつけよ。

もし、以上のすべてを忘れたとしても、次のことだけを心がけるならば、非行化は効率よく進むだろう。
"いつも夫婦仲悪く暮らし,憎しみあい、できれば不貞をはたらき、大人のエゴをむき出しにすること"

ああ ベビーシッター事業・・・

2002年5月号

『ああ ベビーシッター事業・・・』  中舘 慈子

大きな岩に向かって、一人で立ち向かっているようにふと感じます。これからの日本の子育てに、従来の施設型保育だけではサポートしきれない部分があるのではないか、家庭に入って行う個別保育が必要なのではないか、という熱い思いを抱いてこの業界に入ったのが10 数年前。さらに、サポートしなければいけないのは子どもばかりでなくて、子育てをしているお母さんたちなのではないか、という思いにかられてファミリー・サポートを設立したのが1994 年でした。
その後、少子化が進み、働く家族の子育て支援は更に必要になりました。子育ては保育所などの施設型保育だけではサポートしきれないものです。まず、病後児。病後児の保育所を作るとしたら、施設に対するコストがかかりますが、家庭に伺
うベビーシッターでしたら、施設を作る必要もありませんし、保護者が施設にお子様を連れていったりする必要もありません。自宅で安静にしているほうが、お子様にとっても良いのではないでしょうか。その他、送迎保育 新生児の保育 急な仕事の場合の保育 など、働く家族にとってベビーシッターは無くてはならないものなのではないでしょうか。けれども「待機児童対策」の政策の中には、「ベビーシッター」の必要性は全く盛り込まれていません。さらに、子育ての支援は、「待機児童対策」ばかりでなくてすべての子育てをしている家庭に行われるべきものではないのかと思うのです。家庭で子育てに専念さ
れている方も、数多くいらっしゃいます。家庭で育てられた子ども達も、やがて社会に出て日本を支える大切な人材になります。家庭で子育てに専念するということは、それほどたやすいことではありません。一時的なものかもしれませんが、社会から隔絶され閉塞感や孤独感に陥ったり、情報の中で戸惑ったりして、これが育児不安に結びつくこともあります。このようなご家庭に、経験豊かなベビーシッターが伺い、時にはリフレッシュをしていただいたり、時には育児談義をしたりすることは、どんなにか子育てを生き生きとしたものにすることでしょう。どのご家庭にも「育児アドバイザー」としてのベビーシッターが必要なのではないでしょうか。現在の政策は「家庭で子育てに専念する家族」への子育て支援が全く盛り込まれていません。もちろん「ベビーシッター」の必要性も。
社団法人 全国ベビーシッター協会 という厚生労働省の認可団体があります。協会の理事として6 年め。「ベビーシッター認定資格」の確立に関わり、今は「解説 ベビーシッター」という在宅保育の専門教科書の作成に励んでいます。けれども、政策の風は「ベビーシッター」の上をさらさらと通りすぎていくのです。保育所などと同じ「子育て支援」の仕事でありながら在宅保育であるベビーシッター会社に補助金は0、税制の優遇もありません。介護の世界で「在宅介護」が叫ばれているのに。その結果、「ベビーシッター料金は高い」「ベビーシッターが定着しない」などの壁を打ち破ることはとうていできません。「営利事業」とは程遠い現状です。ふと気づくと、大きな岩に向かって一人立ち向かっている孤独を感じます。

ママのベストチョイス

2002年4月号

『ママのベストチョイス』  中舘 慈子

4月からCS デジタル放送「ベルメゾンテレビ」の30分番組「ママのベストチョイス」に出演しています。毎週金曜日9時13時 17時 20時 24時と1日5回の放映ですから、トータルすれば6月までのべ30時間の出演になります。
内容はジュニアまで使えるベッド、4ウェイに使えるベビーカー、スウェーデン生まれのベビーラックの良さを説明しながら育児の知識を話すというもの。ビデオ撮影をしたのはまだまだ寒い2月19日でした。
ロシアのテレビ出演の話が飛び込んできたのも唐突だったように、CM 番組出演の依頼も唐突なものでした。テレビ写りもカメラの前で話すこともあまり自信のない私は、一瞬迷いましたが、何事にもチャレンジ! の気持ちで承諾しました。
お蔭でビデオ撮影の前の1週間は、商品の勉強に費やされることになりました。私が子育てをしたのはともかく20数年前。生半可な知識では千趣会にも商品を作っている会社にも、そして視聴者にも申し訳ありません。わがカーサ デル バンビーノに見えるお母様たちのベビーカーに向ける目の色が変っていたのは言うまでも有りません。いくつかのデパートのベビー用品売り場をのぞいて他の製品を手で触れて確かめたり、ベビー用品の雑誌も2冊ほど求めたりしました。
そんなある日、1人の女性の言葉が強くひっかかりました。「赤ちゃんを抱いていると暑いのよね。だから私はキャリーバックでいつも運んだわ。」
車の中ではチャイルドシート そのままキャリーバックになって家まで運ぶことができて、今度はベビーラックとして使えるすぐれもの。良く寝ていればそのままベビーカーに乗せて使うことができる4ウェイベビーカー。成長期にいくつものグッズを買うのは無駄と言うもの。そういう意味で是非使っていただきたい安全なベビーカーの推薦をしなければならないと思っていたときに。赤ちゃんを抱くことがあまり好きでないから、ベビーカーや様々なグッズが使われるとしたら、「温かい人の手であまり触れないで行われる子育て」・・・「手抜きの子育て」になるのではないかと。
人間一人育つのはたいへんなこと、育てるのはもともと手のかかるものなのではないでしょうか。せめて赤ちゃんのときは「手抜き」ではなくて、「人の手」のぬくもりを伝えて上げたいような気がします。手抜きなどとんでもない、という精神論を述べているわけではありません。時には手抜き大歓迎、シッターさんに預けての気分転換は必要、というのが私の持論です。今、あまり抱っこやおんぶをされない赤ちゃんにとっては、ベビーカーの中やベビーラック、ベビーベッドにいるほうが慣れていて心地よいのかもしれない、とふと思ったりします。それならばなおさら良い製品を選んであげなければ。ビデオ撮影は寒い日でしたが、汗びっしょりになって行われました。そして最後にひとことだけ付け加えさせていただきました。「このように赤ちゃんにとって居心地の良いグッズがたくさん出ていますけれども、時にはお母さんの手でだきしめてスキンシップも取ってくださいね。」と。

魔法のミルク

2002年3月号

『魔法のミルク』  中舘 慈子

ファミリー・サポートのスタッフ、Kさんの発案したミルクです。これは、「夜更かしの子どもを心地よく寝かせることができる」という魔法の力を持っています。ハリー ポッターに夢中になっているお子様にはさらに効くかもしれません。
ブランドはどこのものでもかまいません。いつも冷たいものをあげているとしたら、少し温めて、できたら新しいカップも一つ用意してください。
「さあ、魔法のミルクを飲んでみよう。あ~・・・ パパは眠くなってきたぞ」(あくび)
「どこどこ? あら、ほんと。ママも眠くなってきた」(あくび)
「○○ちゃんも飲んでみる?」
「うん」(ごくんと飲む)
「ねんね ねんね ・・・・」
今まで、夜の一時、二時を過ぎても眠らず、夜のドライブ、夜のパソコンゲーム・・・と両親を振り回していた○○ちゃんは、自分からベッドに向かいます。
2月、日本テレビ 「プラス1」で実際に放映されたシーンです。夜更かしの子どもが実際に増えているそうです。保育所の延長保育から連れて帰り、夜遅い食事を取って帰ってきたパパとも遊ぶ。両親と一緒に深夜までテレビを見ている・・・。
睡眠時間が足りていればそれで大丈夫、というものでもないようです。人も生物。太陽の出ている間は活発に動き回り、夜になれば静かに休む、こんな自然の摂理に基づいたリズムが必要なのではないでしょうか。昼間起きて夜眠るふくろうやもぐらがいれば、その生理から見ても不自然なことですが。「眠りとは何か?」という問いに、いまだ満足な答えはないそうです。けれども睡眠不足であれば、いらいらしたり元気がなくなったりする経験を誰もが持っていると思います。全く睡眠できなければ、生命の維持に重大な支障をきたすことになるでしょう。
現代の脳科学では、睡眠は脳にとって能動的な重要な生理機能であると言われています。人の大きく発達した大脳を自然のリズムに基づいて休ませることで、よく活動させることができるそうです。「大脳の情報処理能力をよりよくする」ことは「自然のリズムに添ってよく眠る」ことと無関係ではなさそうです。「自然のリズムに基づいた眠りは脳の発達に必要である」といっても過言ではないようです。次は、夜更かしのお子様のための処方箋です。

  1. 昼間は外遊びなどをさせて充分にからだを動かすようにしましょう。
  2. お昼寝は2歳頃まで。3歳になればしたりしなかったりします。午後の早い時間に寝かせて、1・2時間で起こすようにしましょう。
  3. 就寝時間を決めて「食事」「トイレ」「おふろ」「魔法の牛乳」「ベッドに入って本を読む」など、順序を決めて儀式のように繰り返しましょう。
  4. 朝は、規則正しい時間に起こしましょう。

留意点

決して「早く寝かそう」といらいらしないこと。
小さいお子様にとって「眠ってしまう」ことは大好きなパパやママとしばしの別れ、と感じられるようです。いらいらしているとよけい不安になって眠れないのですね。
寝る前の「本読み」「うた」などをパパやママも楽しんでください。そして「いつまでもあなたのそばにいるから、安心して眠ってね。明日目覚めたら、ちゃんとパパもママもいるからね。」ということをお子様に伝えてあげて下さい。
お子様の夜更かしがなおれば、お子様の脳の発達に何らかのよい影響を与えるでしょう。
さらに、ご両親もくつろいだ時間を持つことができるのではないでしょうか。

ひとりっこ

2002年2月号

『ひとりっこ』  中舘 慈子

私は、ひとりっこです。4,5人きょうだいも珍しくない時代。ひとりっこはそれだけで問題児であると面と向かって言われたこともありました。「ひとりっこ」のイメージはどんなものでしょうか? きょうだいがいないので、物を分けることを知らない、わがまま、社会性がない・・・ 親に甘やかされるので、過保護、依頼心が強い・・・ など、良くないイメージがつきまとっているような気がします。
そんなところがないわけではありません。けれども、周りをちょっと見渡してみると、ひとりっこで独立心が強くて社会的に価値や責任のある仕事を続けている人もたくさんいます。生まれてから半世紀も経てば、むしろ友人や仕事を通じて触れ合う人間関係が、ひよわなひとりっこを強く変貌させてくれるのかもしれません。
小さいときに体験したかったことはきょうだいげんかです。思っている限りの言葉を投げつけ合い、時には手が出て足が出て泣きわめくこともあるけれども、いつか仲直りをして仲良く遊んでいる。「人は意見が違うことがあり、主張をぶつけ合っても、人間関係を修復することができるのだ」という体験です。けんかをしたらもう二度となかよくできないのではないだろうか、絶対的な力を持つ大人に反抗したらこの世で生きていけないのではないだろうか、幼い心はそんなことを感じていました。
今、出生率は1.39! 数字から見れば、「ついにひとりっこが市民権を得た!」と言えるのではないでしょうか? ということは、ひとりっこの持つ個性がこれからの社会を動かしていくと言えるのかもしれません。

次の文は、シッターさんから見た「ひとりっこ」です。等身大の自分でいられるように 八島 悠子少子化の核家族で,一人っ子も多い今の世の中,子ども達は家庭の中でも,幼稚園・学校でも自分の気持ちの表し方,友達とのかかわり方などに心を痛め,ストレスを感じている子が多いのではないでしょうか。一人っ子を長くみてきましたが,赤ちゃんから年中さん位までは親にペットのように可愛がられ,自己が芽生えてくると可愛げないと言われ,もっと大きくなれば年齢不相応の大人扱い。随分と背伸びをしながら親の要求に応じようと懸命になっているように,感じられます。子どもはパパにも,ママにも喜んでもらいたい,認めてもらいたいと思っているからでしょう。
こうした子ども達とシッターが過ごす時,等身大の自分のままにのびのびとした心で過ごしてもらいたいと思います。親と違って向き合える時間がたっぷりありますから,ゆったりと笑みをたやさず,何でも受けとめる心もちで接してゆくようにしています。それには,まず,お子様の興味を持っていることに私も入ってゆくようにします。
N 君は小さい時から絵を書くこと,虫のことについては虫博士といわれる位よく知っていました。東京育ちの私には虫採りの経験もあまりないのですが,自然の中を植物をみながら歩くのが大好きでしたから,たちまち,虫博士の話のとりこになってしまい,教わりながら畑でみつけてわけてもらった蛾や蝶・カブト虫の幼虫を持ち帰っては育てN 君に質問したり変化を報告したりと楽しみを共有しています。今はあげはのさなぎが部屋の壁で越冬しています。弟や妹のいないN 君には教えるのがちょっとばかりうれしいようです。虫採りから帰ると図鑑で調べること,ひろった葉や木の実・種を使った工作と,家でも工夫したり遊んだりと広がってゆき,思わぬ時に心のうちをみせてくれたりなんといってもこの人大丈夫なんだと認めてくれていると感じる時があり,心がほっかりする程うれしくなります。
レギュラーですとこんな積み重ねは大きくなると言葉で表すこともあれば,黙って身体を寄せてくることであったりします。何だかシッターって側にいてくれるだけで安心出来るオアシスみたいだなと思い,こんな存在になることも大切なことだと思います。
「ひとりっこ」はご両親にとってかけがえのないたった1人のお子さま。大切に、願いや期待を込めて育てるのは当然ですね。さらにご両親にとって子育てはいつまでも「初めて」の経験ばかりになります。小学生になり、中学生になり・・・おとなになるまで。
そんな中でお子様の「等身大」の姿、年齢相応のありのままの姿を見出していくことはなかなか難しいことかもしれません。<
ここでシッターさんのような第三者の目が必要になります。少し離れて温かく見守る目。ここからは「等身大」のお子様が見えるのです。
ひとりっこが多くの人との関わりを通じて、心豊かにたくましく育っていくことが、これからの社会にますます必要になっていくことでしょう。

梅干と出生率

2002年1月号

『梅干と出生率』  中舘 慈子

おいしい梅干だと思っていた。果肉が厚くてやわらかく、甘い中にほどよい酸味があり、塩っ辛さを感じない。フルーティで、従来のしわしわの梅干とはまったく異なった「果実」という印象だった。和歌山県日高郡南部川村産のものである。この村では、農業高校で何十年もの品種改良を重ねて、実が大きくて肉厚で種の小さい南高梅という種類を作り出した。この名前は農業高校の名前にちなんでつけられたという。さらにはちみつを加えるなどして今のおいしい梅干の加工方法を工夫したという。
努力の結晶であるおいしい梅干のおかげで、村の個人所得は高くなった。そしてこの村の出生率は近県に比べても高いものになっているという。「おいしい梅干が売れれば、出生率が高くなる」というとこじつけめいた感じもするが、所得水準が上がることが何かしら未来への夢を駆り立て、生活の余裕につながり、出生率向上につながっているのではないかと分析するテレビ番組を見て、なるほどとうなずいた。
それだけではないだろう。村には豊かな自然がある。子供が走り回ることのできる広い自然が広がっている。夫婦は共に同じ産業を支える仕事に従事しているだろうから、絆も深いかもしれない。子育て援助者世代(祖父母)が同居している可能性もある。出生率の向上が短絡的にすべて梅干とつながるとはもちろん思わない。けれども新春早々の「梅干と出生率」の話題は何かほほえましくて興味をそそられた。
目黒区の出生率は0.8であるという。日々著しい変化を遂げる情報化社会は、働く女性が育児休業を取る決意さえ鈍らせるのかもしれない。都会は、人が自然の一部であることを忘れさせる。梅干は自然の賜物である。都会の出生率を上げることにつながる「梅干」のようなもの、都会に住む人に人が自然の一部であることを思い出させる「梅干」に相当するものはないだろうか。そんなとりとめのないことを考えながら、南部川村産の梅干を味わう。もっとも、半額近い価格で中国産の南高梅で作ったかなりおいしい梅干が出回り始めたということだ。倍額でもよい。私は南部川村産の梅干を求め、2002 年、未来を担う子供の誕生を願ってみようか、と思う。
本年もファミリー・サポートのホームページに毎月お越しくださいますよう。ご意見などありましたら、メールでお寄せください。どうぞよろしくお願い申し上げます。

愛子様 お誕生

2001年12月号

『愛子様 お誕生』  中舘 慈子

12月1日、皇太子ご夫妻に元気なお子様が産まれたというときめく話題が世界を駆け巡りました。ご退院の折り、イタリアの知人が、国内の旅先にいた私たちよりも先に愛子様の映像をイタリアのテレビで見て、「黒い髪のふさふさとしたかわいい赤ちゃんだった」と知らせてきました。ひょっとすると海外の反応のほうが熱かったかもしれないと思われるほどです。
少子化 育児不安 児童虐待 など、どうも暗い言葉が飛び交っている日本社会で、愛子様に関わるニュースが、子どものいる家庭の幸せ、子育てに対する楽しさをもう一度見直すきっかけとなってほしいと思います。男女共同参画時代である21 世紀、女のお子様が生まれたというのも意味深いことなのではないでしょうか。
ご夫妻の子育てがどのように行われるのかは国民にとって興味深いものでしょうけれど、堅苦しい「完璧な子育て」というのではなくて、伝統や規律を尊重しながらも、お子様が国際的にも自由に羽ばたく可能性を育む「柔軟な子育て」をされることと期待させていただいています。
国家レベルでは「待機児童対策」という旗の元に、保育所の増設、保育所における0 歳児保育・長時間保育・病後児保育などの施策が推進されています。今後も公的補助は、保育所を中心に行われていくことでしょう。しかし、保育所中心の発想は、日本独特のものです。一般的に保育=保育所 といった捉え方がなされているような気がします。「保育を必要とする子ども」は、大勢います。これを即、「保育所を必要とする子ども」「待機児童」と捉えるのが日本の発想なのです。保育には、ベビーシッターのように家庭で個別的に行う保育もあることをもう一度、見直してほしいのです。0歳のときから1日11時間以上、施設保育を行うことが果たして子どもにとって適した保育なのでしょうか? 病気のときにわざわざ病児保育所まで連れて行くことが必要なのでしょうか?
集団保育と個別保育、施設保育と在宅保育 この二つの保育が両輪となって、21世紀の子育てを支えていくことが必要なのだと思います。
2001年、師走のニュースは本当に明るいものとなりました。2002年が、子どもたちにとって、子育てをしているすべてのご家族にとってさらに明るいものとなるようにと心からお祈り申し上げます。